図3-13 第4学年「事故や事件をふせぐ」11/11Hの板書 図3-14 第6学年「明治の国づくりを進めた人々」 ただ学習問題の答えを文章としてまとめるのではなく,為政者,元為政者,民衆はどのような思いをもっていたのかを,それぞれの立場から整理してまとめたことで,概念化された知識の基となる具体的な知識を整理することができた。これは活用場面において自分の主張を立論する際に必要な根拠が概念化する作業を通じて獲得できたとい 第6学年の「明治の国づくりを進めた人々」の単元では,明治政府の新しい国づくりに向けた諸 政策について評価を行う活用場面を設定した。この政策について適切に評価をするためには,子どもたちが各時間で習得した知識を適切に活用することが必要となる。そこで,為政者はどのような思いで行った政策であったのか,それを受け民衆の生活にどのような変化があり,どのような思いをもっていたのかを整理することができるようにする。そうすることで学習問題に対する答えを的確にまとめることができるようになると考えた。そこで,それぞれの立場から明治政府の諸政策に対する思いを関係図を用い,図3-14のように整理していった。 小学校 学習指導法 23 27 図3-12 第4学年「事故や事件をふせぐ」10/11Hの板書 7/8Hの板書 える。実際の討論の場面では子どもたちが適切に習得した知識や概念等を活用しながら議論していたのがP.21の討論の様子から確認できる。 このように,習得Aで子どもたちが基礎的な探究を通じて習得してきた知識等を適切に概念化したり,活用Aの場面での活用を見越した取組みをしたりすることで,活用Aの場面をより充実したものにすることができたといえよう。 第4章 実践の成果と課題 第1節 授業実践を通じて明らかになった姿 研究協力校の子どもたちに,実践前と実践終了後に質問紙によるアンケート調査を実施し,その変容をとらえた。 (1)見方・考え方を働かせる学習の充実 子どもたちが適切に見方・考え方を働かせることができるようにするために,見方・考え方シートを配布し,そのシートを活用することで見方・考え方をどのように働かせたらいいのかを理解できるようにしてきた。図4-1は子どもたちが見方・考え方シートの使用について問うたアンケートの結果である。 図4-1 児童質問紙調査回答結果① A校,B校のいずれの学年でも子どもたちの9割以上の子どもたちが役に立ったと答えている。 一方,「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」と回答した子どもも見られた。この子どもたちは,普段の授業で実際に活用する姿がほとんど見られなかったものの,見方・考え方を働かせながら学習をする姿が見られた。自分の学習経験の中から見方・考え方の働かせ方のイメージをもっており,活用する必要性がなかったためと考えられる。この見方・考え方シートを活用しない子どもは授業を重ねるごとに増えていき,実践の最終盤では授業中に活用する姿はほとんど見られなくなった。 次頁図4-2は見方・考え方を働かせながら学習することができたかについて質問した結果である。
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