001総教C030705H30加藤最終稿
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26 (ほぼ評価できる→少し評価できる) ・2つの戦争とかによって賠償金や領地が手に入って,人々の生活が豊かになったり,産業が発展したりといった利益はあったけど,やっぱり公害があったり,様々な問題があったことは大きいと思う。 (ほぼ評価できる→ほぼ評価できる) ・2つの戦争によって日本は領地や賠償金などの利益を得ることができたけど,外国は何もかもほぼ奪われたからそこはよくないと思いました。他にも産業が発展したことによって生活が便利になったけど,公害によってたくさんの人を苦しませてしまったこともあまりよくないと思いました。これからは武力ではなく言論で決めたらいいと思います。産業についてもどうしたら煙を減らして豊かなくらしができるようになるかもう少し考えたらいいと思いました。 (ほぼ評価できる→ほぼ評価できる) ・2つの戦争などで悪い印象を中国とかにあたえたこともあったけど,科学の発達によって外国でも問題になっていることを解決できたことはいいことだと思った。公害等の問題をもっと早く解決しようとした方がよかったと思う。 さらに,次の「世界に歩み出した日本」の単元でも,子どもたちが図3-11に示すような活用場面を設定し,活用する力の一層の充実を図った。 図3-11 第6学年「世界に歩み出した日本」活用設定場 この単元で子どもたちは,日本が対外政策や産業・文化の発展により当時の先進国と比肩し,近代国家としての地位を確立させたことを理解していく。そして近代国家として世界に認められた日本の軌跡について評価する場面を単元末に設定することで,学習を通じ習得した知識や概念等の活用を意図した。 活用Aの前時の学習では,学習問題に対する答えをまとめると共に,日清・日露戦争,条約改正,国内産業の充実,民主主義運動,科学の発展といった5つの視点について,日本が近代国家として認められるための政策としてどうであったかを議論した。活用場面では,その前時の学習を基に,日本の政策が評価できるか否かを判断した。多くの子どもたちが評価できるという考えであったが,それぞれの立場からの考えを議論することで,新たな価値に気付くことができ,「評価できる」,という判断をした子どもも,「かなり評価できる」「ほぼ評価できる」「少し評価できる」といった立場の違いを生み出すに至った。なぜそのような評価をしたのか,その理由について話し合う中で考えを深めていった子どもの姿が見られた。学習を終えた子どもの記述の一部を以下に示す。 小学校 学習指導法 22 習得した知識や概念等を基にし,議論を通じて深まった考えを明示するとともに,よりよい在り方はなかったのかを考え,表現している子どもの姿も見られるようになった。 第4学年,第6学年のいずれでも最初は十分に習得した知識や概念等を活用することができなかった。しかし,継続して単元末に活用Aの場面を設定したことにより,子どもたちは習得した知識や概念等を適切に活用し,思考を深めることができるようになっていった。子どもたちの活用する力を高めることができたと考えることができよう。 (2)習得Aの概念を生かし活用するために 活用Aの場面で子どもたちが習得した知識や概念等の活用を図るためには,その前時の習得Aの学習場面で子どもたちが基礎的な探究で学習してきたことを適切に概念化することが重要となる。その習得Aでは,単元の学習問題に対する答えをまとめることで概念を形成していく。その学習問題のまとめ方には様々な表現方法がある。文章やキーワードでまとめる方法,図や絵を用いる方法など様々なものがある。そこで,活用場面でどのように活用するのかを踏まえ,効果的な活用を図るためにどのようにまとめるのがより適当であるのかを考え,習得Aの場面を設定するようにした。 第4学年の「事故や事件をふせぐ」の単元では法・きまりによる規制を増やすことで交通事故の減少を考える活用場面を設定した。適切な活用を図るためには,法・きまり,警察,地域の人,自分という四者が協力・連携することで安全なくらしが守られている,という単元を通じて習得してきた個別の知識を集約して概念化するとともに,視覚化することでその概念をより容易に用いて考えることができると考えた。そこで,次頁図3-12のようにくらしの安全は法・きまり,警察,地域の人,自分という四者が協力・連携することで守られていることを関係図で示してまとめた。図を用いてまとめることで,子どもたちは自分と他者との立場や関係を整理しながら概念化することができた。そして次頁図3-13に示すように,この図を次時の活用場面でも提示しながら学習を進めた。前時に習得した概念が図として示されているため,この概念図を議論する上での根拠とし,概念を適切に用いて考えることにつながっていった。 ったけど,科学の発達によって外国でも問題になっていることを解決できたことはいいことだと思った。公害等の問題をもっと早く解決しようとした方がよかったと思う。

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