第1節 基礎的な探究の充実 (1)見方・考え方を働かせた学習 ア 見方・考え方シートの配布 適切に見方・考え方を働かせることができるようにするために,子どもたちが授業の中で実際に見方・考え方を働かせながら問いについて調べた場面に合わせて見方・考え方シートを配布した。図3-2はシートを配布した時の子どもの様子である。実際に自分たちがどのように調べたのかを振り返るとともに,よりよく調べていくためにはどのような視点で調べたらいいのか,どのようなことに着目して考えていけばいいのかをとらえながら見方・考え方シートを確認している子どもの姿が見られた。また,このシートをノートの最初に貼ったことで,常に確認することができるようになり,教師の声かけや自分が考える際に必要に応じて確認する子どもの姿が見られるようになった。 イ 見方・考え方を働かせる授業 子どもたちが社会的事象の事実だけではなく,そこに込められた人々の思いや社会的事象の意味について考えを深めることができるようにしていかなければならない。しかし,子どもたちがはじめから社会的事象の意味を考えることは難しい。次に示すのはA校第4学年における「火事をふせぐ」の5/11Hの学習記録である。 第3章 探究的な学習の実際 本研究では,京都市立小学校2校において,A校第4学年とB校第6学年で,図3-1に示す時期にそれぞれの単元において実践を行った。 図3-1 各校における実践単元 (24)文部科学省「中央教育審議会『幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)』」2016.12 http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2017/01/10/1380902_3_1.pdf 2019.3.1 (25) 前掲(24) ○は単元の時数 第4学年 (4)地域社会における災害及び事故の防止について,次のことを見学,調査したり資料を活用したりして調べ,人々の安全を守るための関係機関の働きとそこに従事している人々や地域の人々の工夫や努力を考えるようにする。 ア 関係機関は地域の人々と協力して,災害や事故の防止に努めていること。 イ 関係の諸機関が相互に連携して,緊急に対処する体制をとっていること。 (5)地域の人々の生活について,次のことを見学,調査したり年表にまとめたりして調べ,人々の生活の変化や人々の願い,地域の人々の生活の向上に尽くした先人の働きや苦心を考えるようにする。 ウ 関係機関は地域の人々と協力して,災害や事故の防止に努めていること。 第6学年 (1)我が国の歴史上の主な事象について,人物の働きや代表的な文化遺産を中心に遺跡や文化財,資料などを活用して調べ,歴史を学ぶ意味を考えるようにすると共 設定し,社会や人々の思いについて考えを深めることができるようにする。どのような視点で考えを深めていけばよいかを問いによって明らかにすることで,子どもたちは適切に見方・考え方を働かせることができると考える。 このように学習場面を設定することで,子どもの思考が連続し,それぞれの場面で適切に見方・考え方を働かせるとともに,習得a活用aのサイクルの充実が実現できよう。 また,各実践における学習指導要領の記述は次の通りである。 小学校 学習指導法 13 第6学年 (1)我が国の歴史上の主な事象について,人物の働きや代表的な文化遺産を中心に遺跡や文化財,資料などを活用して調べ,歴史を学ぶ意味を考えるようにすると共に,自分たちの生活の歴史的背景,我が国の歴史や先人の働きについて理解と関心を深めるようにする。 オ キリスト教の伝来,織田・豊臣の天下統一,江戸幕府の始まり,参勤交代,鎖国について調べ,戦国の世が統一され,身分制度が確立し武士による政治が安定したことが分かること。 キ 黒船の来航,明治維新,文明開化などについて調べ,廃藩置県や四民平等などの諸改革を行い,欧米の文化を取入れつつ近代化を進めたことが分かること。 ク 大日本帝国憲法の発布,日清・日露の戦争,条約改正,科学の発展などについて調べ,我が国の国力が充実し国際的地位が向上したことが分かること。 T ①火事が起きても被害を小さくするために誰が,どのようなことをしているのでしょうか。 C1 消防隊の人はポンプ車とかを使ってやっていました。 C2 消防隊が化学車に乗ってやっていました。 C3 火を消す人と助ける人で役割がわかれている。 T 助けるは誰がやってるの? C3 消防署の人が助けるけれど,その間に水をかけて消す人がいる。 C4 火事を消すために消防士の人はもちろんだけど,警察の17 図3-2 見方・考え方シートの配布
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