図2-4 社会科の1時間の学習過程例 <社会への関わり方や在り方等について選択・判断する> ・今後どのように続けていくことが大切だろうか ・(自分は)どのように関わっていけばいいのだろうか ・何がより重要だと考えるだろうか。 ・これまでの在り方は評価できるのだろうか ・AとB,どちらを選ぶべきだろうか。 単元末のこれまでに学習してきたことを基に活用を図る場面では,このような問いを適切に設定することで,これまでに培ってきた社会的事象の見方・考え方を生かし,自分の生活や行動について選択したり,社会の発展に向けた自分なりの意見をもったりすることができるようになろう。 このように,子どもたちの見方・考え方を適切に働かせるための問いを提示していくため,1時間の学習における問いの提示場面を次の二段階の構成にする。 16 導入,問いの設定,予想・仮説の設定,調べ・検証,まとめなど,様々な学習場面が存在する。 このように単元や1時間の学習には様々な学習プロセスがあるため,同じ資料を用いても,課題を設定する場面なのか,課題・問題について調べる場面なのかによって問いは変わってくる。何について考えさせたらいいのか,子どもにどのような視点に着目してとらえさせたらいいのかを明確にした問いを設定しなければならない。 しかし,実際にはそういった問いが設定されていない授業を目にすることも多い。調べるプロセスにおいて「~について調べましょう」,や「~について考えましょう」,といった活動を子どもたちに投げかけても学習を展開することは可能である。しかし,このような問いでは何に着目したらいいのか,どのような見方でとらえていけばいいのか,どのように考えたらいいのかなどの視点が含まれていないため,子どもたちが適切に見方・考え方を働かせることはできない。 そこで,時間・空間・相互作用を視点とした見方が組み込まれた問いを設定するようにする。平成28年の答申には次のように例が示されている。 また,考える際の視点も提示していく。考えの働かせ方としては次のようなものが考えられる。 ○位置や空間的な広がりの視点 ・どのように広がっているのだろう ・なぜこの場所に集まっているのだろう ・地域ごとの気候はどのような自然条件によって異なるのだろう ○時期や時間の経過の視点 ・いつどのような理由で始まったのだろう ・どのように変わってきたのだろう ・なぜ変わらずに続いているのだろう ○事象や人々の相互関係の視点 ・どのようなくふうや努力があるのだろう ・どのようなつながりがあるのだろう ・なぜ○○と○○の協力が必要なのだろう (25) このように視点を明確にした問いを設定するこ・どのように続けていくことがよいのだろう とで,どのように社会的事象を見たらよいのかが・共に生きていく上で何が大切なのだろう 明らかとなり,子どもたちが適切に社会的事象の様子や仕組みをとらえ,学習プロセスの目的の応じた思考が展開できるようになる。 小学校 学習指導法 12 <社会的事象の特色や意味を考える> ○比較・分類 ・どのような共通点がありますか ・どのような違いがありますか ○総合 ・どのような特徴があるといえますか ・どのような傾向が見られますか ○関連付け ・なぜそのようになっているといえますか ・どんな役割を担っているといえますか このように比較・分類,総合したり関連付けた<社会への関わり方や在り方等について選択・判断する> りして思考することで,社会的事象の特色や意味・今後どのように続けていくことが大切だろうか ・(自分は)どのように関わっていけばいいのだろうか を考えることができるようになる。とらえた社会的事象を基にどのように考えるのか,見方・考え方を適切に働かせることで,社会的事象の意味を適切に理解させることができるようになるといえよう。 さらに,単元を通じて習得したことを踏まえ,新たな問いについて自分や社会の関わり方について選択したり判断したりする場面における問いも適切に設定したい。社会に見られる課題について考えたり,獲得した概念を基に今後の在り方や自分との関わり方について考えたりする場面では,次のような問いを考えることができる。 ①主に社会的事象の事実をとらえる場面 ②主に社会的事象の意味について考える場面 まず,事実を獲得するための問いを設定する。この第一段階の問いでは社会的事象をより具体的にとらえることができる問いを提示する。そこでは先に示した時間・空間・相互作用を視点とした問いが考えられる。 次に,その獲得した事実の意味や意義などを考えるための問いを設定する。「なぜ~するのだろう」や,「どうして~を選んだのだろう」などの問いを
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