このシートにはどのように社会的事象をとらえればいいのか,時間・空間・相互作用のそれぞれを視点とした見方を提示している。さらに,様々な社会的事象を,適切に見方を働かせてとらえた上でどのように考えたらいいのか,その考える方法も併せて示している。このシートを子どもたちのノートに貼り付け,必要に応じて振り返りながら確認し,必要なときにいつでも活用できるようにする。また,シートは渡すだけではなく,教師が資料を提示し,その際にその考え方シートを用いてどのように見たらいいのか,どのように考えたらいいのかを子どもたちに示しながら実際に学習を行うようにするとともに,シートを折に触れて何度も用いることで,子どもたちが見方・考え方を適切に用いることができるようにする。 り解決したりする活動を通して,公民としての資質・能力を育成することが求められている。子どもたちが,この見方・考え方を適切に働かせることができるようにするためには,子どもたち自身が見方・考え方がどのようなものであるかを理解している必要がある。社会的事象の見方・考え方をどのように働かせたらいいのかがわからなければ,多様な資料を提示しても,そこから必要な情報を適切に収集することはできないからである。また適切な視点からとらえることができなければ,その情報を基に考えることもできない。子どもたちが主体的に学びを進めていく上でも,見方・考え方を働かせるとはどういうことかを理解していることは重要であるといえる。そこで,子どもたちに次の図2-2のような学年段階に応じた見方・考え方シートを配布する。 見方・考え方を働かせる学習場面にも着目する。より深い学びを獲得していくためには他者との協働が必要となる。社会的事象の見方・考え方を適小学校 学習指導法 11 切に働かせ,個々が得た事実や考え方を他者と対話を通じることにより,新たな視点や考え方に気付くことができるようになる。同じ資料から同じ視点で着目したとしても,それをよさと感じる子どももいれば,課題であると感じる子どももいることだろう。地図等の資料を提示しても全体の分布・広がりに着目する子どももいれば,集中している場所に着目する子どももいるだろう。このように,社会的事象の見方・考え方を生かしてそれぞれが導き出した多様な視点や考えを,見出した根拠を明らかにしながら議論することを通じ,子どもたちは学びを深めていくことができるとともに,子どもたち自身の見方・考え方も鍛えられる。 このように見方・考え方を適切に働かせる学習を展開することで,基礎的な探究における習得aが充実し,より質の高い活用aへつなげることが可能となる。 (2)見方・考え方を働かせる問い 探究的な学習の充実を図るためには,習得aと活用aの円滑な接続が求められる。そのためには見方・考え方を適切に働かせるための教師の問いが大きな役割を担うと考える。社会科の学習では様々な学習過程があり,それぞれの学習過程で子どもたちが適切に見方・考え方を働かせるためにはそれぞれの学習プロセスに応じた問いを適切に設定することが必要となる。平成28年の答申には図2-3ように社会科における単元の学習プロセスが示されている。 図2-3 社会科の単元の学習過程例 (24) それぞれのプロセスで目的が異なるため,目的を十分達成できるようにするためには,そのプロセスに応じた問いを適切に設定することが重要となる。特に,単元を貫く学習問題を設定したり,追究してきたことをもとに新たな学習問題を設定したりする際には,社会的事象の本質を吟味することができるような質の高い問いを設定することが求められる。 このような単元のプロセスと共に,次頁図2-4に示すように,1時間1時間の学習プロセスにも15 図2-2 見方・考え方シート
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