001総教C030705H30馬場最終稿
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施することで,回答内容が偏向することのないようにした。 表4-2は「指導効果確認シート(素点合計)」の一部と協力校ごとの集計結果を示したものである。 表4-2 指導効果確認シートと集計結果 このシートでは,児童の自己評価での素点合計を示しており,全質問項目に対する回答の合算値を,4つのソーシャルスキル領域ごとに見とることができる。例えば“あいざわ”であれば,4つのソーシャルスキル領域すべてで数値が増加しており,“いのうえ”であれば,仲間関係領域の数値に増加は見られるものの,他の3つの領域では数値が減少しているのが分かる。ここでの数値の増減は児童が自己評価したという点で児童の主観的な変容を示すものと捉えることができる。 この素点合計の結果を俯瞰するために,学級全体の数値の増減を示したのが表4-2下部の数値である。ここではA校集団行動領域やB校コミュニケーション領域のように大きく数値が増加した領域もあったが,A校2領域,B校1領域では数値減少が見られた。この数値減少の原因を明らかにするために,指導したターゲットスキルでの数値の変容に注目した。 図4-2はB校における学級SST③でターゲットスキルとして設定した,「行動する前にじっくり考える(衝動的に行動しない)ことができますか」という項目に対する児童の自己評価の結果をグラフで示したものである。小学校 総合育成支援教育 23 指導前(7月)のグラフを見ると,「当てはまる」もしくは「やや当てはまる」と回答をしている児童がそれぞれ53%,39%となっており,指導する前から学級の多くの児童が「自分はできている」と評価していたことが分かる。それに対し,「あまり当てはまらない」「当てはまらない」と回答した児童はそれぞれ4%であった。 指導後(11月)のグラフを見ると,指導前(7月)と比べ「当てはまる」と回答した児童の割合が79%と大きく増加した。さらに「当てはまらない」と回答した児童はいなくなった。これらのことから,児童の力が全体的に上向きにスライドしたと考えることができる。また,指導前に「当てはまる」を選択し,指導後も「当てはまる」と選択した児童が少なからず存在する。数値上は横ばいで変化が表れないが,児童の様子を見ているとスキルの質や場面によって言動を使い分けたり応用したりするなどの柔軟性が高まっている様子が見て取れた。このような変化は実践の中で行なった他の項目でも見られた。 図4-3は研究協力校における児童の自己評価の変容を,指導したスキルごとにまとめたものである。図内の「A校①」「B校②」などは表3-1(P14)と対応している。図4-2で示したB校③と同じ傾向は,85 図4-2 B校 設問ごとの変容確認シート 比較用グラフ 図4-3 児童の自己評価の変容

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