84 表4-1 比較機能の有無と含まれる情報の一覧表 様子のほかに,児童の変容の標準的なパターンやスキルに対する認知が変化した可能性などの興味深い結果が得られた。ここではそれらを,児童の自己評価・担任によるチェック・困りを抱える児童という3つの視点から示す。 (1)チェックシステム上の分析シート 本研究で作成したソーシャルスキルチェックシステムでは,ターゲットスキル及びスモールステップの設定に加え,指導後の児童の変化を見とるための機能の充実を図った。単一のデータを示すだけでなく,担任と児童,指導前と指導後を比較できるようになっている。 表4-1はソーシャルスキルチェックシステムにおける比較機能の有無と含まれる情報を一覧表示したものである。 児童の状態やその変容を見とる上では多角的な分析をすることが最重要であると考え,それを実現するために複数の分析シートを出力できるようにした。その際,情報が多くなりすぎて分析が煩雑になることの無いよう,視覚的に情報を読み取小学校 総合育成支援教育 22 ることのできるグラフを複数配置した。 表4-1内の,「指導前後の比較」欄に「有」と記しているものが児童の変容を見とる際重視したシートである。項目に対する回答である素点を重視しつつ,これら6つのシートを組み合わせて情報を読み取ることで,児童の変容を探った。これらのシートは全て指導前後の比較だけでなく,担任と児童の二者比較も可能となっている。 (2)児童による自己評価の分析 今回使用したソーシャルスキル尺度は,元来指導者用のものであり,質問項目も「視線を合わせて人と話すことができる」「憶することなく仲間に話しかけることができる」というように指導者目線のものとなっている。この中で一部の項目は平易とは言えないものであったため,対象児童の学年に合わせて「相手の 目を見て 人と話すことが できますか。」「ドキドキせずに 友だちに 話しかけることが できますか。」等,児童が理解できるように読み替えたものを提示して児童による自己評価を実施した。 図4-1は児童用の自己評価シートを一部抜き出したものである。ここでは指導者用のソーシャルスキルチェック表と同様に4件法による回答を行うこととし,指導後の評価も同シートで行うこととした。指導者用のチェック表が全56項目であるのに対し,領域を限定する形で実施するこの自己評価シートの項目数は半分以下となり,指導時間や児童自身に負担が掛かりにくいのではないかと考えた。学級SST後の自己評価では指導前のチェック内容を参照せず実図4-1 自己評価シート例
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