001総教C030705H30馬場最終稿
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b)ミッションカードでの取組へのフィードバック ミッションカードでの児童の取組に対して個人用賞状,学級用賞状の2種類を用意した。個人用賞状はメイン指導の際に立てたスキル使用回数の目標を達成した児童に渡すことにした。賞状内の空欄に児童に合わせてコメントを書き込むことで,児童の達成感や次回以降のミッションカードを用いる取組への意欲を持たせることを意図した。 に掲示し,児童の目に入るようにした。これにより新しいミッションカードで別のソーシャルスキルの使用に取り組んでいても,これまでに学んだスキルも意識する様子が見られた。 どちらの賞状も児童用に作成したものであったが,担任にとってもこれまでに指導したソーシャルスキルを想起し,日常的にフィードバックを行う助けとなった。 c)指導前後の変容へのフィードバック 学級SSTを通して児童一人一人がどのように変容したかということは指導者が把握するだけでなく,当事者である児童にも理解しやすい形で示す必要があると考えた。自分がどう変わったのかを把握することで,スキルを使用することや学級SSTへの意欲喚起にもつながるからである。同時に,今後 学級用賞状はミッションシートの記録を参考にし,サブ指導後に発行した。これは個人用賞状と同様に児童の達成感や意欲喚起をねらうのと同時に,指導が終了したソーシャルスキルを想起する材料として捉えた。実践の中ではA校B校ともに教室小学校 総合育成支援教育 21 どんなことを学べばよいかということも意識できるのではないかと考えた。 図3-9はSST後に実施した児童の自己評価を基に作成した,児童用の成果確認シートである。 ソーシャルスキルチェックシステムに含まれるこのシートでは,児童の自己評価の指導前後の数値を一覧表示し,変容を見とることができるようになっている。シートでは児童が内容を把握しやすいように数値の向上が見られた項目を青,低下が見られた項目を赤色で示し,これまでに学んだ項目の番号を示している。この内容を基に,現在の自分の状態を客観的に見取り,今後どのようなことを学びたいかを考えられるようにすることで,主体的にSSTに取り組む姿勢を引き出すことを意図した。 このシートを使って児童の思いを集約し,引き続き学級SSTを続けていくことで,指導前のソーシャルスキルの測定―指導―指導効果の測定という指導サイクルを確立できると考える。 (11)Mathur,S.R.& Rutherford,Jr.:Peer-mediated interventions promoting social skills of children and youth with behavioral disorders. Education and Treatment of Children,14:pp.227-242 1991 (12)Odom,S.R.& Brown,W.H.:Social interaction skills interventions for young children with disabilities in integrated settings. In C.A.Peck,S.L.Odom,& D.D.Bricker(Eds.),Integrating young children with disabilities into community programs. Paul H.Brookes,Baltimore,pp.39-64 1993 第1節 効果測定 研究実践終了後,ソーシャルスキルチェックシステムを用いて指導効果の検証を行った。そこでは児童のソーシャルスキルに関わる力が向上する第4章 研究の成果と課題 83 図3-9 児童用成果確認シート

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