で,説明を省略した状態でLD等通級指導教室での指導を進めることができる点も利点であると感じられた。 第3節 指導後 (1)般化を促す取組 実践の中では,指導したソーシャルスキルの般化のために,授業内外でのフィードバックやサブ指導での振り返りなど,児童がスキルの内容や使用場面を想起する場面を多く設定したが,その際有用であったのがミッションカードとミッションシートである。 図3-6はミッションカード例である。 指導するスモールステップや実施期間に合わせて内容を変更して使用した。「ミッション」としてスモールステップを記載し,児童がその使用回数を記録して般化につなげていく。 カードの大きさは9㎝×12㎝とし,中央で折りたたんだ状態で普段使用している筆箱に入れて保管できるようにした。メイン指導後からサブ指導までの期間を実施期間とし, 学校もしくは家庭をスキルの使用場所として想定し,いずれの場所でのスキル使用も記録することにした。スキルの内容によっては,サブ指導の充実をねらい図3-6右上のように,スキルの使用場面などを記載することもあった。 第3学年で実施したA校ではスキルの使用回数に個人差はあるが,児童一人一人が非常に意欲的にこれを使用した。休み時間だけでなく他の教科領域等の授業中もスキルを使用しようとする様子が見られ,肌身離さず持ち歩き,熱心に取り組む児童が少なからず見られた。ミッションカード自体が児童の意欲を向上させたことを示す例である。 第6学年で実施したB校では個人のミッションカ小学校 総合育成支援教育 19 ードと同時に提示した学級用ミッションシートに学級全体で取り組む様子が見られた。 図3-7は学級用ミッションシートである。 個人用のミッションカードでのスキル使用回数を合算し学級全体でゴール(スキル獲得)を目指すものである。ここでもミッションカードと同様に指導するスモールステップや実施期間に合わせて内容を変更して使用した。 学級で目標設定をすることで,スキルの使用が児童間の話題に上がるだけでなく,お互いの使用したスキルへのフィードバックも促進された。また,教室内に掲示することで,児童だけでなく指導者のフィードバックを増やすことにもつながった。目標を達成した後も「二周目もやろう!」という声が上がり,継続して取り組む姿も見られた。 このように,ミッションカード等の教材は複数の効果をもたらし,スキルの使用を促すという目的は十分に果たすものであった。 一方で,いくつかの課題も見えた。 図3-8は児童のスキル使用の状況を把握するために作成したシートの一部である。 サブ指導後に回収したミッションカードを81 図3-6 ミッションカード例 図3-7 学級用ミッションシート 図3-8 スキル使用記録
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