001総教C030705H30馬場最終稿
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表内の①~④の数字は指導順序を示しており,前掲の表3-1と対応している。 76 表3-1 ターゲットスキル一覧 ート,学級の中で困りを抱える児童の個人シート等を用い,結果を多角的に把握したうえで,いくつかのスキルをターゲットスキル候補として選定した。ここで選定した複数のスキルを児童に示し,児童がその中から選択したスキルをターゲットスキルとして指導した。 児童に候補のスキルを示す際には,学級全体で良い結果であったものを先に示した上で,それらを補完し,よりよくする材料として,課題であるスキルを示した。そうすることにより,それぞれの児童の,学級全体で学ぶべき内容であるという意識を引き出すことができた。実際に児童がスキルを選択する場面では「このスキルならみんなで頑張ればすぐにできるようになるんじゃない?」「(2つのスキルを指して)これとこれは似ているから,一気にできるようになるよ。」「初めにこれをやって,次にこっちをやったらいいと思う。」というように学ぶ順序やその習得にかかる時間も加味した話し合いをする様子が見られた。示された複数のスキルを取捨選択するのではなく,いずれも自分たちに必要なものであると捉えることができていたと考えることができる。 表3-1は実際に学級SSTで指導したターゲットスキルの一覧である。 表内の①~④の数字は指導順序を示している。 ソーシャルスキルチェックシステム上のソーシャルスキルの4領域のうち,A校は仲間関係(①②)と集団行動(③④),B校はセルフコントロール(①③)と集団行動(②)に含まれるスキルである。A校,B校ともに,残る一つであるコミュニケーション領域に含まれるソーシャルスキルは選択されなかったが,数値上課題があると思われる児童も存在するため,今回ターゲットスキルとして設定した領域の変容とともに,経過を観察することとした。 小学校 総合育成支援教育 14 (2)スモールステップの設定 スモールステップはターゲットスキルを獲得する上で必要不可欠なスキルの要素を細分化したものであり,その細分化したスキルの集合体がターゲットスキルであるといえる。従ってスモールステップをできる限り想定し指導の中に配することがターゲットスキルの円滑で確実な獲得につながると考えた。 今回の実践では,ターゲットスキル決定の後,できる限り具体的な行動目標をスモールステップとして児童に提示した。 表3-2は学級SSTで児童に示したスモールステップ(行動目標)の一覧である。 A校では行動目標が具体的に示されていることが分かる。①のように単一の行動を示したものだけでなく,②③のように組み合わせて使用するものや行動の順序を示すもの,④のように場面によって使い分けるものなどがある。限定的かつ具体的な行動を示すことで,誰もがスキルを明確に理解できるようになるとともに,児童自身が行動の生起回数をカウントすることができるようになると考えた。実際の場面では学習直後からスキルを使用できる場面を探し,意欲的にスキルを使用する児童の姿が見られた。このように具体的な行動を提示することで,児童自身がスキルを理解したうえで即時的にスキルを使用することができるようになることが明らかになった。 それに対し,B校では②や③のように抽象的な内容が中心となっている。これは以下のような理表3-2 スモールステップ(行動目標)一覧

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