各シートの役割や具体的な操作手順,指導の流れなどを示しており,記載されている内容に従いデータの入出力,指導用シートの作成等を行うことで,データおよび指導の管理を行うことができる。使用方法を中心に記載・構成することで,実施する学校や学級の実態を加味して使用することができるようにした。 〈分析支援のための情報の視覚化〉 このソーシャルスキル尺度では結果が数値で表れる。個人に使用する場合は結果として示される数値をそれぞれ分析することで実態把握を行うことができるが,集団に適用するとその結果も人数分示されることになる。その結果分析作業が煩雑になったり,個人内での変容が見取りにくくなったりすることが考えられた。そこで,出力される数値の良好な部分や課題のある部分に色を付けて表示したり, 各結果をグラフ表示したりするようにした。また,担任による他者評価と自己評価を同時に比較できるようにしたり,指導前と指導後の変容を学級単位で比較できるようにしたりすることで,分析にかかる時間の短縮を目指した。 図2-5は本システムにおいて生成される分析用の情報のイメージである。 小学校 総合育成支援教育 11 〈実際の指導にそのままつなげる〉 本システムの作成時の第一義は,学級に在籍する児童全員のソーシャルスキルに関わる力と,児童の変容を容易に捉えることができるようにすることである。これを利用することで学級の児童のソーシャルスキルに関わる力を相対的に測ることができるだけでなく,実施や分析に掛かる時間的な負担を軽減することにつながる。その結果,学級SST実施へのハードルが下がり,より効果的なSSTが広く行われるようになると考えた。しかしその一方で,このシステムの機能が子どもたちのソーシャルスキルの測定のみに終始してしまい,実態把握を行った後の学級SSTが行われないままになってしまうとその意味をなさない。 そこで,児童のソーシャルスキルの力を測るだけでなく,実際の学級SSTを計画するためのシートや,指導したソーシャルスキルを般化するための手立てとなるミッションカード等の教材もシステムのパッケージに加えることとした。そうすることで,児童の実態把握から指導後の児童の変容の見取りまでの一連の流れを学校現場でスムーズに行うことができると考える。 また,情報入力から指導,指導後の児童の変容の見取りまでの一連の指導の流れを理解したうえでスムーズに取り組むことができるようにシステム全体を通したマニュアルを作成した。 図2-6はマニュアルの一部である。 73 図2-4 マクロボタンの例 図2-5 分析用の情報のイメージ 集団の状態だけでなく,個人の状態を視覚的に見とるためのシートも抽出できるようにし,より精度の高いターゲットスキルの選定や指導後の児童の変容の分析を行うことができるようにし,スムーズに指導を行うことを意図した。 図2-6 マニュアル
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