001総教C030705H30馬場最終稿
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72 図2-3 ソーシャルスキルチェックシステムTOP画面 的に見とることのできるシステムを作成した。これにより学級に必要なソーシャルスキルを見極めることも容易になると考える。 児童生徒の実態把握を行う方法としては,保護者や教師が行う他者評価や,対象児童生徒が自分で行う自己評価,応用行動分析を用いた行動観察などがあるが,本研究では担任による他者評価及び自己評価を比較分析することによって行う。尺度化されたチェックリストである「指導のためのソーシャルスキル尺度(小学生用)」(上野 岡田)(10)を用い,同学年同性集団と比較することで対象児童生徒のソーシャルスキルがどの程度育っているかを把握するとともに,具体的にどのようなスキルが習得できていて,どのようなスキルの不足が困りの原因となっているのかを明らかにする。 このチェックリストは集団行動,仲間関係,コミュニケーション,セルフコントロールの4つの領域に分かれた全56項目の質問に,「0:当てはまらない」「1:あまり当てはまらない」「2:やや当てはまる」「3:当てはまる」の4件法により回答し,そこから得られた素点の合計を基に評価点を算出する。学年及び性別によって素点から得られる評価点を調節し,それぞれ集団の平均点を10とすることで,同学年同性集団の中での対象児童のソーシャルスキルの力を測ることができる。 ただ,同尺度を用いたこれまでの研究を概観すると,単一もしくは少数のターゲットスキルの獲得状況を評価する際,算出される評価点の変化の幅が小さく,対象児童の変容を見取りにくい様子が見られた。また,複数児童にチェック表を用いる際の作業時間やデータ管理の煩雑さ,複数回使用した際の比較のしにくさも想定できた。その改善を図るために, 1年次の研究で作成した電算化チェックリストを増補し,学級全体を対象として小学校 総合育成支援教育 10 実施できるようにシステムを再構築した。 下図2-3は作成した「(小学生版)学級・個人 ソーシャルスキルチェックシステム」のTOP画面である。エクセルデータ上で動作する本システムは,20数枚のシートで構成されており,大きく入出力に関わるシートと指導の支援に関わるシートに分けることができる。 以下の3点に留意して作成している。 〈入力のサポート〉 筆者の学級担任としての業務内容を振り返ると,多くの業務で主に使用していたアプリケーションはWindows Wordである。これは同僚も同様であるように見受けられた。その他業務で使用するアプリケーションとしてはWindows PowerPointや Windows Excelがあるが,Wordと親和性の高いPowerPointと比べ,Excelは操作や機能に互換性が少なく,扱いづらいと感じている教員が多かった。 そこで,誰にでもスムーズなシステムの利用ができるようするため,入力シートを分割したり,入力補助用のマクロボタンを複数設置したりしてWindows Excel上で動作する本システムを直感的に操作できるように工夫をした。 右図2-4はシステム内に実際に配置したマクロボタンの一部である。 選択したセルに特定の数値を一括入力するものや,未入力部分を一括選択するもの,グラフの視認性を向上させるものなどがある。これらを用いることでより簡単かつ効率的に作業できるようにした。また WEBサイトを閲覧するような感覚で作業が進められるように,TOP画面から各シートにアクセスしてシートを切り替えたり,ボタン操作をするだけで特定部分を自動印刷したりすることができるようシート構成を行った。

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