001総教C030705H29最終稿(河合)
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う項目に対して「そう思う」と答えている数が少なく,「どちらかといえばそう思わない」という回答が増えていることが分かる。指導者も,「伝える」ことの方に課題があると見ていることが読み取れる。 この結果からも,やはり自分の考えをどのよう にもち,自分の頭の中にある考えをどのように相 手に伝えるのかという課題があることが分かる。 図1-5は,学校質問紙「生徒は,学級やグルー プでの話合いなどの活動で,相手の考えを最後まで聞くことができていると思うか」「生徒は,学級やグループでの話合いなどの活動で,自分の考えを相手にしっかりと伝えることができていると思うか」という項目という項目に対する回答結果を示したものである(9)。 「聞く」と比べ,自分の考えを「伝える」とい 国語科において「学びへ向かう力」を育てるためには,その課題を克服することが必要不可欠であると考えている。 (2)京都市国語科の現状から見える傾向 では,本市の現状から見える傾向とは,どのようなものだろうか。 表1-1は,平成29年度全国学力・学習状況調査の生徒質問紙の項目のうち,生徒の主体性に関わる項目について全国平均と比較したものである(10)。 表1-1 主体性に関わる項目における京都市と全国の比較 最初の三つが受け身的な活動に関する項目,後の二つが自分で考えることが必要となる項目である。そのように考えると,生徒たちの生活が,情報を受け取る側に偏っており,自分で考えるという時間が少ないことが分かる。日常生活において,極めて受け身であるということであり,授業において,自ら考えさせるのがいかに難しく,重要なことであるのかが分かる。 さらに,国語科に絞って具体的な課題について考えると「読むこと」の領域に課題があることが見えてくる。 表1-2は,過去2年間,全国学力・学習状況調査B問題において下回った設問を領域別にまとめたものである(11)。 表1-2 全国学力・学習状況調査B問題において京都市の 正答率が全国を下回った設問と評価の観点 聞く・伝える 26.3 (生徒) 説明・書く (生徒) 30.1 聞く 25.9 伝える 12.6 63.9 そう思う 47.3 21.2 5.1 どちらかといえばそう思う どちらかといえばそう思わない 32.3 24.2 13.1 そう思わない n=1,023,817 そう思う 63.6 10.2 0.3 どちらかといえばそう思う どちらかといえばそう思わない 23 0.5 そう思わない n=9,982 年度 関心 話聞 書く 読む 京都 H27 ○ ○ ○ H27 H27 ○ H28 H28 ○ 普段,1日当たり,テレビやビデオ・DVDを2時間以上見たり,聞いたりする。 普段,1日当たり,2時間以上テレビゲームをする。 普段,1日当たり,2時間以上,携帯電話やスマートフォンで通話やメール,インターネットをする。 学校の授業以外に,普段1日当たり1時間以上,読書をする。 家で,自分で計画を立てて勉強をしているか。 中学校 国語教育 4 質問項目 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 京都市 全国 52.7% 49.1% 41.7% 37.6% 38.6% 32.3% 11.7% 14.0% 44.9% 51.5% 全国 56.1% 56.2% 67.2% 67.8% 22.2% 23.0% 63.3% 64.0% 46.3% 49.2% 0%図1-4 聞く,伝えることに関する回答結果(生徒) Seito と思っている生徒が30%程度,自分の考えを説明 したり,書いたりすることが難しいと思っている生徒が60%以上いることが分かる。このことから,前者の質問においては,聞くことと伝えることが同時に聞かれているが,おそらく相手の考えを聞くことよりも自分の考えを伝えることに難しさを感じている生徒の方が多いことが予想される。 0%50%図1-5 聞く,伝えることに関する回答結果(指導者) 50%100%100%

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