自分の考えが書 に関わりが深い「主体的に学習に取り組む態度」について述べることとする。 「主体的に学習に取り組む態度」は「学びに向かう力・人間性等」に含まれるものであるが,新学習指導要領において,「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」のみが具体的な内容として示され,解説の中でも「学びに向かう力・人間性等」については目標のみを記し,具体的な内容については示していないことが述べられている(24)。では,目標としてどのように示されているのか。 表4-2は,学習指導要領解説国語編に示されている,国語科における「学びに向かう力・人間性等」に関する目標と各学年の「学びに向かう力・人間性等」に関する目標をまとめたものである(25)。 表4-2 「学びに向かう力・人間性等」国語科の目標 「言葉がもつ価値」「思いや考えを伝え合おうとする態度」が各学年に共通して挙げられていることが分かる。互いに思いや考えを伝え合う中で,言葉がもつ価値に気付き,言語感覚も豊かになり,個々の言葉の力を向上させていくことができる。辞書的な意味は一人で学べても,言葉の真の価値に気付き,自分の言葉を豊かにしていくことは決して一人ではできない。そして,思いや考えを伝え合おうとする態度は,「主体的に学習に取り組む態度」として見取ることができるのではないかと考えている。 今回の実践でも,対話による成果は大きかった。対話の過程を可視化するという活動を行ったが,ノートやワークシートを「主体的に学習に取り組む態度」の評価に生かしていけないかと考える。現在も,定期的にノートやファイルを回収し,自 教科の目標 言葉がもつ価値を認識するとともに,言語感覚を豊かにし,我が国の言語文化に関わり,国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。 第1学年 言葉がもつ価値に気付くとともに,進んで読書をし,我が国の言語文化を大切にして,思いや考えを伝え合おうとする態度を養う。 第2学年 言葉がもつ価値を認識するとともに,読書を生活に役立て,我が国の言語文化を大切にして,思いや考えを伝え合おうとする態度を養う。 第3学年 言葉がもつ価値を認識するとともに,読書を通して自己を向上させ,我が国の言語文化を大切に関わり,思いや考えを伝え合おうとする態度を養う。 ①内容理解ができていない場合は,課題提示や資料提示の方法など導入の工夫がより必要。 ②内容は理解しているが,そのことについて自分の考えを持てない場合は,焦点を絞って課題提示をするなどの工夫が必要。 ③内容を理解し,自分で考えることもできるが上手く表出できない場合は,箇条書きやキーワード,話し言葉などその生徒がまず書き出せるような工夫が必要。 ①読み取りが不確かな場合は,どこに注目して読むのか焦点化するなどの工夫が必要。 ②読み取れている場合は,大切だと思った箇所に印をつけるなど,まとめ方の支援が必要。 ①相手の話が理解できない場合は,聞き返す,質問することを意識させることが必要。 ②相手の話をそのまま全てメモしている場合は,番号を振る,色で印をつける,矢印を用いるなど要点のまとめ方に関する支援が必要。 ①自分の考えがもてない場合は,他の人の話の中で,特によいと思ったことに印をつけるなど取り組みやすいことから意識させる。 ②話し合いの中で自分の考えを話せている場合は,相手が「なるほど」と納得したり,「~ということ?」と問い返したりしたときの発言を書き留めるよう意識させる。 なぜ,そのようなメモをしたのか(印をつけたのか)振返りをさせ,そのメモは自分の考えと共通するものなのか,補足するものなのか,異なったものなのかなどを考えるよう助言が必要。 具体的にどこが特によいのか,またよりよくするためには何が必要かなどの助言が必要。 特によいところは全体で共有。 課題 表4-1 ノートから見取れる内容 ノートの状態 けない。 メモができない。 (テキスト・資料) メモができない。 (他者) メモができない。 (気付き・自分の考え) メモはできるが,自分の考えと上手くつなげられない。 過程を最初から最後まで書き残せ,自分の考えとつなげられる。 中学校 国語教育 29
元のページ ../index.html#31