くなった。→成長していることに気づいた◎ヒロユキが頑張って生きようとしていたことを知ったから。⇒ヒロユキの成長い=「生きたい!」応えられなくてごめんね。 ⑤全体交流からの気付き ☆ただなくなったわけではなく戦争によってなくなった一つの命。 ☆ヒロユキと同じように大人になれなかった人たち。 ☆いのり,なくなった人たちにおくる。→今の平和な世界を見て,安らかにねむってください。 ⑥最後の振返り 私は,初めて読んだとき,ただ戦争の思い出話だと思っていました。だけど,授業をしていくうちに風景から僕の気持ちが読み取れたり,くわしく読めば読むほど心情が分かったりしました。(中略)専門なので一つのことを深くほれるからいいです。 (下線は筆者による) Q「モアイは知っているだろうかっていう読者に投げかけみたいなのが書かれてるから,より読者を引込みやこの生徒は,学習班での交流後の振返りとして「お話の主人公の立場のみで考えるのではなく、相手の立場でも考えると深く学べるということに気づいた」と述べており,見方が広がっていることが分かる。そして,振返りで「最初はただの思い出話だと思っていた」と書いている通り,最初の表出を見てみると「命の重さ」に触れてはいるものの,戦争によって命が失われたことについては書いていない。最後の表出では「戦争の悲惨さ」について触れており,全体交流の「ただなくなった命ではなく,戦争によってなくなったたった一つの命」という考えが影響を与えていることも分かる。一方で,僕と母が抱える「罪悪感」について大切な学びをしているにもかかわらず,最後に書くときには生かしきれていないという課題も見取れる。また,「専門なので,一つのことを深められる」という趣旨の記述も見られ,ここでも対話が学びの深まりつながったと感じていることが分かる。 (2)B校・2年生の様子 ◆説明的文章の授業実践 特に活発な様子が見られたのは,専門家会議後の学習班での話し合いである。ほとんどの班は協議の結果,班としての考えを出せていたが,互いの意見がぶつかり,最後までどちらと決めかねる班もあった。その例を紹介する。女子生徒QとRは『モアイは語る』,男子生徒Sは『イースター島にはなぜ森林がないのか』の方が説得力があるとして意見が分かれている。 この班は結局,双方の意見が対立したまま発表した。しかし,最後に書く場面で生徒Sは選択肢Aを選んでおり,「『モアイは語る』の方が説得力がある」という結論に至っていた。そして,感想を裏まで書き「討議の末にこのように考えが変わるすいんじゃないですか。」 S「(教科書をめくりながら)あのねー、それ…」 Q「(Cの教科書を指し)ここ!ここ!」 S「ああ,それね。(イースターのプリント開く)投げかけてはいるけれど…」 Q「けれど,何ですか?」 S「ああ,序論ね。確かに投げかけてるけど,イースターの方はもうすでに結果が出てるから,どういうふうな流れになるかということがイースターの方が書いてあって。比べたらモアイは最初にモアイの秘密に迫っていきたいって言っておきながら最後によう分からんこと書いてるから。」 Q「モアイのこと話すと思いきや,自然になったと。」 S「モアイのこと最初めっちゃ言ってるやん,ほんまやー,なんで自然やねん!」 Q「ああ,つっこみが入ると。」 S「そう。」 Q「話の展開が読みやすいってことね。ねるほど。」 (この辺りまでは冷静に話し合いが進んでいたが,この後本論の話になり,だんだんとヒートアップしてくる) R「モアイは流れにそっていると思うよ。」 S「そってる?絶対沿ってないって!」 Q「そってる!そってる!」 R「イースター島では,話が変わるときに問題提示してるよね。」 S「いや,絶対それでいいやん!だってさ,いっきに2つ疑問投げかけてやで,万が一モアイが2つ投げかけたとしてな,最初にそんなことしてみーや,後で話題ごちゃごちゃなって分かるわけないやろ。」 R「でも,だから,それをモアイさんはやってるんですよ。さっき言ったじゃないですか。投げかけて一つの答えがあって。」 Q「Rが言ってたみたいに,モアイの方は一つの問いがあって,それに対してちゃんと一つずつ書いてあるんやけど,イースター島の方は一つに対して,あまりに結論がありすぎるから,どれがほんまなんですか,どれもほんまなんでしょうけど,それやったらちゃんと分けてよって。」 S「いや,絶対こっちの方がいいって!…」 (この後も,サブタイトル「地球の未来」のことや,流れ,まとめ方などについて激しい議論が続いた。) (下線は筆者による) 中学校 国語教育 21
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