001総教C030705H29最終稿(河合)
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L「(乾いた白い一本道という表現が)何か心まで乾いてるような感じがして,だから悲しい表現だと思いました。」 M「質問していい?あのさ,心まで乾いてるって話なんだけど,それだったら色がなくなってると思うんだけど,なんで白いのか疑問に思いました。色がなくなってしまうって透明ってことだと思うんだけど,なんで白?」 L「例えば黒とかの道だったんだけど,色が抜けてしまったようなイメージで。」 O「そう。黒だと邪悪な感じ。」 P「え?何ページ?乾いた白い一本道?」 M「どうしよう。なんていうんやろ?」 P「牛乳飲むから悪いんやん。」 M「僕も悪いけど…」 O「そう。生きるのが無理やってん。しゃあない。」 M「黒とかで説明すると…」 L「じゃあさ,もう心まで乾いたでいいんちゃう?色はおいとこう。」 M「なんで心まで乾いたん?」 P「ヒロユキが死んじゃったからやん。」 M「心までってことは,体もってこと?」 L「だから,道も乾いてるけど心も乾いてるなって。」 N(それまで黙ってやり取りを聞いていたが)「乾いた道にこだわる意味が…」 M(Eの教科書をひらいて指さしながら説明する) O「(その表現が)なくてもいけるやん。」 Oに合わせるように LMP「でも書いてあるってことは何かあるんだって!」 (この後Nは自分が気になっていた「空は~澄んでいました」の表現について述べ,LとMがNの教科書に注目し話し合い始める。それを聞いていたOP。) OP「澄んでるの意味が分かってない。」 メンバーから否定され,以後専門家会議ではそのことには触れなかった。それが学習班に戻って説明するときには,ただの悲しみではなくて罪悪感を含んだ悲しみだったから,あえて美しい風景で強調したということを述べていた。このように,3回目の学習班での交流では,専門家会議で伝えると決めたこと以外に自分の考えを別に述べていたり,専門家会議で話し合ったものの未解決のところについて学習班の意見を求め,さらにそこで考えていったりする様子も見られた。専門家会議においても,学習班での話し合いにおいても「どこ(から)?」「なぜ?」という声が自然とあがり,その問いに対して,説明している本人だけでなく,他のメンバーも考えていた。 O 「澄んでるっていうのは,雲とかなんもないって感じ。」 P「青空。」 N「なくなってるってことじゃないの?」 O「澄んでいるは,なくなるちゃうで。」 N「想像してるの!」 M「モヤモヤがなくなっていくから澄んでるって思ったんだけど。」 P「ひらいめいた!(教科書のページをめくりながら) この男の子はずっと悪いって思っていて…何回も何回も,どんなに悪いことか分かってたって書いてあって…」 (この後,議論している答えにつながらないと全員から言われ,説明を止めてしまう。)(下線は筆者による) ①表出(最初) わたしがこのお話を読んで思ったことは,命の重さです。その命の重みを感じたところは「ヒロユキは幸せだった。~かわいそうだった」というところです。「ヒロユキ」という命を大切にしていなければ,そんなこと言えないと思うからです。また,最後の「母が大きくなったんだね~初めて泣きました」のところでも「ヒロユキ」を大切にしていた姿が分かります。そこで,「ヒロユキ」が家族にどれだけ大切にされていたか,命の重みを感じました。 ④表出(最後) 大切な弟がこんなに幼い歳で亡くならないといけないくらい戦争が悲惨だった。 ②-1 白い乾いた一本道⇒弟が死んでそれまで自分の心の中に 満たされていた気持ちがなくなってしまった。 ②-2 「空は高く~輝いています」→敵の飛行機がきれいに見えるくらいヒロユキが死んだ悲しみ。 「道にも~ありませんでした」→周りに3人以外誰もいないことから自分の心もからっぽ。 「白い乾いた一本道」→頭が真っ白。二人の悲しみでからから。罪悪感…ミルクを飲んでしまった。もしかしたら…。 ②-3 「母の強い顔」→子どもを守る。「悲しい~顔」→子どもを守れるか不安。「美しい顔」→「必死に子どもを守る」 ②-3 「強い顔」→子どもを守る。「悲しい~顔」→子どもを守れるか不安。「美しい顔」→「必死に子どもを守る」 「母は~泣きました」→守ってあげられなかった。大き 中学校 国語教育 20 ノートの使い方は,説明的文章の実践とほぼ同様のため省略し,実際の生徒の記述のみ紹介する。

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