◆B校・説明的文章2年 【課題A】二つの文章を比較して,どちらがより説 得力があるか自分の考えを書く。 支援のポイントは選択肢を与える,理由は「な んとなく」でもよいとした2点で,A校の実践と同様である。A校では2択であったのに対し,4択(『モアイは語る』の方が説得力がある/『イースター島にはなぜ森林がないのか』の方が説得力がある/どちらも説得力がある/どちらも説得力がない)にしたことが異なる部分である。 【課題a-1】自分が担当する視点から二つの作品を 比べ,どちらがより説得力があるか考 える。また,同じ担当者同士で専門家 会議を行い,課題Aに対する答えの根 拠となるポイントをまとめる。 で書く。 最初に,短い言葉で主題について書くようにし,そのように考えた理由などを説明するようにした。 一言で書いても,キーワードを並べても,一文で書いてもよいとすることで,詳しい説明をすることができなくても,自分が最初にこの作品をどのようにとらえたかのか残せるような形とした。長い作品だが,大まかなストーリーをとらえること自体は難しくなく,「友情」「絆」「人を信じることの大切さ」など読んだ印象としての主題は書けるのではないかと考えた。 【課題a-1・2】『走れメロス』の題材となった『人 質』(シラー作)と比較することで, 太宰治が付け加えた意図について 考える。 『人質』は『走れメロス』と比べると非常に短 中学校 国語教育 16 い作品であり,『人質』に様々な場面や要素を付け加えたものが『走れメロス』であると言える。『人質』と似た部分に線を引くという学習活動は,同じようなところを見つけるだけなので,作業としてそれほど難しくない上に,自然と本文を何度も読むことになる。また,線を引いていない部分が付け足されたところであることに気付き,なぜ太宰は付け足したのかと考えるきっかけにもなり,主題について考えを深めていけるのではないかと考えた。 【課題a-3・4】主題に迫る謎を見つけ,解決する。 『走れメロス』を読み,疑問に感じたことを挙げ,その疑問について根拠を明確にしながら解決していくという活動である。一般的に使用される「謎」という言葉と多少ずれはあるが,生徒たちの意欲を高めるのはどちらかと考えた結果「謎」【課題a-2】学習班に戻り,それぞれの視点からのという言葉を使用した。個人でどのよう謎がある分析を整理し,班としての結論を出す。 か考えた後,学習班で主題につながる謎はどれか 一人一人が考えやすくなるよう分析する視点を 考え,さらに全体でよりよい謎を選ぶという過程絞った。また,ジグソー学習を取り入れることで, を通すことで,謎自体が吟味され,主題から逸れ自分で選べ,やってみようと思えたり,他人任せない討論となるよう意識した。討論をしているとにせず,自分の担当について責任をもって考えたきは自分たちのテーマを考えることで主題についりできるのではないかと考えた。さらに自分で考て考えを深めていけるが,聴衆という役割を意識えた後,同じ視点で考えた仲間と話し合うことで,させることで自分が担当するテーマ以外の討論の新たな見方ができたり,自分の考えも整理された際も,異なった角度から考えを深めていけると考りする。その後,学習班に戻ってぞれぞれのパーえた。討論グループに分けるときは,生徒がよりツを組み合わせていくと,より説得力が増したり,自ら考えようと思えるように,よほど人数の偏り全く異なる見解が出てきて問い直したりすることがない限り,希望するグループで討論できるようもできる。 にした。 ◆B校・文学的文章2年 【課題A】『走れメロス』の主題について考え,作 者が伝えたかったことは何か自分の言葉 (2)課題解決のための視点(教師の支援) ◆A校・説明的文章1年 課題Aについては,選択するという内容のため,大きなつまずきは予想されない。課題aは,担当者で考える場面,学習班で考えをまとめる場面のどちらにおいても,難しさを感じる生徒がいると予想されたため,以下のような視点を与えた。 ・データがどの考えの根拠になっているかつながりを考える。→事実と筆者の考えのつながり ・記録している時期が異なる等一つの図から分かることだけでなく,図と図,図と表など複数のデータを比較して考える。→多角的な見方 ・どのようなデータがあったらよいか考えるために,十分ではないと判断したデータは,なぜそのような結果になっているのか原因を予想してみる。→自分の考えをもつ 特に,一つの図だけを見て,「観察の時期が異な
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