C 読むこと イ 場面の展開や登場人物 ②-3 学習班【課題a-2】 オ 文章を読んで理解した次期学習指導要領 の相互関係,心情の変化な どについて,描写を基に捉 えること。 ことに基づいて,自分の考えを確かなものにすること。 教科書の目標 ・登場人物の行動や情景描 写などに着目して,心情を とらえる。 ・厳しい時代や状況を生きた人物の姿から、自分のものの見方や感じ方を見つめ直す。 最も大きな違いは,最初の表出と最後の表出の際の課題が異なるということである。このため,最後の振返りで生徒にとって変容がはっきりしないということもあった。また,目標と課題A,目標と課題aのつながりはあるが,課題Aと課題aのつながりが薄いという課題もある。これらの問題は最初の表出段階の課題Aを「作者は何を伝えたかったのか」という最後の表出と同一にすることで解決されると考えたため,後に行った三つの実践では同じ課題にしている。最初と最後の課題を同じにすると授業としての面白みに欠けるようにも思われるが,同じであることで,生徒は見通しを持て,課題aの設定を工夫することで意欲的に取り組むこ授業の流れ 対話 ①テキスト ①他者 ②-1 テキスト ②-2 他者 テキスト 自己 ②-3 他者 テキスト 自己 ③他者 テキスト ④自己 テキスト ⑤他者 テキスト ⑥自己 ため,左に授業の流れ,右にどの対話が位置づけられるかを示している。 (2)『大人になれなかった弟たちに…』 表3-3は,本実践の目標と特に関わりがある新学習指導要領に示されている内容と教科書に示されている目標をまとめたものである。 表3-3 新学習指導要領と教科書に示されている内容 協力員と話をする中で,A校1年生は登場人物の心情を読み取ることが苦手であることが分かった。これは,京都市全体の課題として言えることでもあり,第1章でも「読むこと」の領域に課題があることは述べた。 平成29年度全国学力・学習状況調査の結果において「登場人物の言動の意味を考え,内容を理解すること」「場面の展開や登場人物の描写に注意して読むこと」に関する設問は軒並み全国平均を下回っており(24),「読むこと」の領域の中でも「描写に注目し,登場人物の心情理解をすること」は,特に課題が大きいと考えられる。そこで,本実践の目標を以下のように定めた。 登場人物の言動や人間関係に加え,前の教材『星の花が降るころに』で学習した「情景から心情を読み取る」ということも目標に取り入れた。『星の花が降るころに』と比べ,一見するとただの風景にしか見えない描写が心情につながる部分もあり,情景から心情を読み取る難易度は高い。第二次世界大戦中の話であり,時代背景も今とは異なるため,学んだことを生かすという位置づけの教材として適していると考えた。 登場人物の言動や情景描写から心情を読み取り,作品に込められた思いをとらえる。 右表3-4は,授業の流れを示したものである。なお,時間の都合上,チャレンジ問題は行うことができなかった。 (文学的文章1年・A校) 表3-4 『大人になれなかった弟たちに…』授業の流れ ①本文を読み,疑問や分からなかったこと,感想を書く。【課題A】 感想の交流をする。 ↓ ②視点を絞って読み,どのような登場人物の心情が分かるか考える。 ②-1【課題a-1】 学習班(4人)になり,役割分担をして,自分の担当視点から分かる心情についてまとめる。 ②-2 専門家会議【課題a-1】 それぞれの担当ごとに集まり,担当の視点から読み取れる登場人物の心情について話し合う。 学習班に戻り,それぞれ担当する視点から意見を出し合い,まとめる。 ↓ ③学習班ごとに発表をする。 ↓ ④読み取ってきたことを生かし,作者は何を伝えたかったのか自分の考えを書く。【課題A】 ↓ ⑤自分の考えを発表する。 ↓ ⑥自分で学習を振り返る。 四つの実践のうち,最初の実践だったこともあり,上手くいかなかった部分もある。本実践をもとに修正をしたため,他の三つの実践とは異なる部分がいくつかある。 中学校 国語教育 12
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