図3-3 グループで振り返る活動の様子 図3-3のように,生徒は付箋を用い,合唱祭で取り組むことができた内容や,できなかった内容を挙げ,まず合唱祭について振り返りを行った。 中学校 キャリア教育 11 少し取った後,グループ活動へと移った。図3-3は,生徒によるグループ活動の様子である。 その後,次の文化祭に向けて取り組んでいきたいことをグループごとに考え,全体で発表した。 全体で共有することで,生徒はグループによって異なる意見や,共通するキーワード等を掴むことができる。最後に個人で振り返り,文化祭に向けて取り組みたいことを,各生徒が意思決定した。 以上のような振り返りを,A校では繰り返し行った。具体的に生徒が記述した内容を,いくつか以下にまとめて示す。 <合唱祭振り返り> ○今までに比べてがんばった点,新たな発見 ・来てくれる人たちに,笑顔で応答したり話したりすること。 ○文化祭に向けて取り組んでいきたいこと ・人のためにできることはないかを考え,準備からがんばる。 <文化祭振り返り> ○今までに比べてがんばった点,新たな発見 ・誰かと協力することはとても大切だということがあらためてわかった。 ○生徒会選挙に向けて取り組んでいきたいこと ・現時点での課題は,もっと意欲的に勉強に取り組むことです。そのためには集中する力が必要なので,自主学習などをしようと思いました。 131 図3-2 実践の流れ(A校) 第2節 間をつなぐ実践 本節では,キャリア・パスポートを用いた二回の実践(学年初め,学年末)の間をつなぐ実践について取り上げる。A校,B校それぞれで学校行事の種類や時期が違うため,その点を明らかにしながら順に述べていくこととする。 (1)A校の実践―学校行事でつなぐ― A校では,先述した振り返りシートを活用しながら,学校行事でつなぐことを意識した実践を行った。A校の実践の流れは図3-2の通りである。 図3-2のように,A校では大きな行事ごとに振り返りシートを用いた振り返りを実施し,蓄積することとした。キャリア・パスポート(学年末)では,蓄積された記録を学年末における振り返りの基礎資料とすることができる。また,生徒が振り返りシートを記述する際,教師は先述したキャリア・カウンセリングシートをもとに言葉がけを行い,生徒の自己理解が深まるようにした。 これらの手だてを生かしつつ,A校において次のような授業を実践した。授業の目標は「合唱祭の取組を振り返り,文化祭に生かそう」である。文化祭取組を行う時間に,直前の学校行事である合唱祭の振り返りを行うとともに,文化祭に向けたクラス目標,そして各自の目標を意思決定した。 では授業の流れを具体的に述べる。まず教師が生徒に目標を明示し,次の文化祭へつなげていくことを語りかけた。授業の導入で目標を明示することで,生徒に目的意識が生まれ,振り返りの内容も目標に沿ったものとなることが期待できる。 そして,「文化祭に向けて,どんなクラスにしていきたいか」と問いかけ,個人で考える時間を
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