001総教CR030517R1研究論文(大嶋)
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第1節 キャリア・パスポートの活用 (1)キャリア・パスポートの 次の学年へキャリア・パスポートおわりキャリア・パスポートはじめ成長ノート104 図2-1 「成長ノート」の活用について キャリア・パスポートを活用した実践は,特別活動学級活動(3)の時間を活用し,行うようにした。しかしながら,自己のキャリア形成について見通したり,振り返ったりするためには,特別活動で扱える時数だけでは足りないのでないかと考える。そのため,特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じて,教育活動全体でキャリア教育の充実を図ることが重要になる。そのため,特別活動学級活動(3)だけではなく,各教科等における活動が大切になる。 本研究では,キャリア・パスポートの取組を充実するためには,キャリア・パスポートの「はじめ」と「おわり」の間をつなぐ「成長ノート」を活用することが重要であると考えた。以下の図2-1は「成長ノート」の活用のイメージである。 間をつなぐこの「成長ノート」とは,各教科等での活動での学びをキャリア教育で付けたい力について振り返ったものを蓄積したノートである。 これまでも,キャリア教育で付けたい力については,各教科や様々な活動を通して,付けようとしてきたことが多かった。しかし,これらは単発的に指導していたり,子どもがキャリア教育で付けたい力を意識してめあてをもち,振り返ることをしていなかったりしたことが多かった。 学習指導要領解説特別活動編の第2各活動・学校行事の目標及び内容3内容の取扱いは 指導に当たっては,学校,家庭及び地域における学習と生活の見通しを立て,学んだことを振り返りながら,新たな学習や生活への意欲につなげたり,将来の生き方を考えたりする活動を行うこと。その際,児童が活動を 記録し,蓄積する教材等を活用すること(下線部は筆者 によるもの) と示されている。(10) 小学校 キャリア教育 4 このように,学習と生活の見通しを立て,学んだことを振り返りながら,新たな学習や生活への意欲につなげたり,将来の生き方を考えたりする活動をつなぐことがとても重要になってくることが分かる。 キャリア・パスポートを効果的に活用するためには,子どもが学校行事などの活動の様子を記録し,蓄積するものとして「成長ノート」を活用した取組を行った。この「成長ノート」を使用した具体例は後述するが,キャリア・パスポートの「はじめ」と「おわり」を有機的につなぐためには,間をつなぐ一つの取組を行った後の振り返りを次の活動での「めあて」を考える際に参考にしていくようにした。 (2)キャリア・パスポートの具体 次ページに示した図2-2,図2-3は,実践で使用するキャリア・パスポートである。文部科学省が提示したキャリア・パスポート例(11)を参考に「自己理解をする」という視点で再構成した。京都市で行われる「生き方探究パスポート(京都市版キャリア・パスポート)」も同様の構成になっている。 図2-2の学年はじめのキャリア・パスポート「はじめ」では,これまでの自分について振り返り,今の自分についてや将来の自分について考え記述する。自分の好きなことや自分のよいところなどについて考えることで,今の自分について自己理解ができると考える。1年後なりたい自分について考えたり,そのために頑張ることについて考え,意思決定したりすることで意欲的に目標を考えることが出来ると考える。 キャリア・パスポートおわりでは,1年間を通して,自分がどのようなことで成長したかを具体的に振り返ることができるようにした。それらをもとに次の学年へのなりたい自分について考えるようにする。 第2章 キャリア・パスポートの 効果的な活用を目指して 効果的な活用に向けて

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