001総教CR030517R1研究論文(大嶋)
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肯定的な言葉がけ 自らの学習状況やキャリア形成を見通したり振り返った りしながら,自身の変容や成長を自己評価できるよう工夫 されたポートフォリオ と示された。(9)つまり,キャリア・パスポートは,児童が学びのプロセスを振り返ることを通して,自らの成長や変容を自己評価し,自己理解を深め,主体的な学びに向かう力を育て,自己のキャリア形成に生かすために活用するものである。 ということになる。 肯定的に自己理解を深めることは,現在の自己を適切に知ることになり,自分に合った目標をそれに合わせて設定できるようになる。そのことによって,目標が達成できる場面が多くなると,自分に自信がもてるようになったり,「自己有用感」が向上したりして,結果として「自己肯定感」の高まりにつながると考える。 成 長ノ ー トの 活 用 図1-3 本研究で考える「自己肯定感」を高めるプロセス ・自分のよさを知り,得意なことをのばす力 ・自分らしさを大切にする力 各教科等・学校⾏事確かな自己理解を深めることができるようになると,なりたい自分(最終目標)を実現するための目標が段階的に立てられるようになる。まず,1つの目標が達成できれば,自分に自信がもてたり,「自己有用感」が実感できたりする。それが,次への活動の意欲を高めることになる。この繰り返しによって自分に自信がもてたり,「自己有用感」を実感できたりすることを積み重ねることで,「自己肯定感」が高まることにつながると考えた。 本年度の研究はキャリア教育の社会的・職業的自立に向け,必要な基盤になる能力のうち「自己理解能力」の向上と「自己肯定感」を高めることに視点を当てることによって,キャリア・パスポートの効果的な活用につなげたい。 (2)キャリア・パスポート 今回新たに設定された学級活動(3)の指導について,学習指導要領第6章の第2の3の(2)では 学んだことを振り返りながら,新たな学習や生活への意欲に つなげたり,将来の生き方を考えたりする活動を行うこと。 その際,児童が活動を記録し蓄積する教材等を活用すること。 示されている。(8) 小学校 キャリア教育 3 (2) 前掲(1) P.23 (3) 中央教育審議会答申「今後におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」 2011年1月31日 P.17 (4) 前掲(3) P.25 (5) 前掲(3) P.17 (6) 内閣府「今を生きる若者の意識―国際比較からみえてくるもの―」2015年 (7) 前掲(3) P.25 (8) 前掲(1) P.185 (9) 文部科学省「キャリア・パスポート」について 2020年3月29日 これまでも学級活動などにおいて,「児童が自ら現在及び将来の生き方を考えることができるよう工夫すること」とされていたが,今回,教材等の活用について新たに示されたことでキャリア教育の具体的な教材について示された。 具体的な教材等については,一連の活動の過程において,子どもが気付いたことや考えたこと,体験したこと,学んだことなどを記述し,積み重ね,振り返ることができるポートフォリオのようなもののことである。「キャリア・パスポート」を使った学習を行う際に必要なものとされている。これらを踏まえて,文部科学省『キャリア・パスポート』について(平成31年3月29日告示)では,キャリア・パスポートの定義やキャリア・パスポートの具体が示された。キャリア・パスポートの定義では, 京都市では,これらの取組の学年のはじめと学年のおわりを振り返る2枚の振り返りシートを「生き方探究パスポート(京都市版キャリア・パスポート)」として実施されることになった。 103 なりたい自分今の自分自分に合った目標設定学校,家庭及び地域における学習や生活の見通しを立て,実践キャリア・パスポートおわりキャリア・パスポートはじめ自分について正しく知る(振り返り)自己肯定感の高まり自己理解能⼒の向上

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