スウェーデンフランスドイツイギリスアメリカ韓国日本スウェーデンフランスドイツイギリスアメリカ韓国日本102 社会の中で自分の役割を果たしながら,自分らしい生 き方を実現していく過程 と述べられているように,キャリア教育を通して,社会的・職業的自立に向け,必要な基盤となる能力や態度を育成すると同時に,一人一人の児童が自分のよさや可能性を認識できるような支援を行うことが重要である。 第2節 本研究の構想 (1)本研究の全体像 前節でも述べたように,これからの時代に生きていく子どもたちは,社会的・職業的自立に向け,必要な「基礎的・汎用的能力」を獲得することが重要となる。そのためには,「自己肯定感」を高めることの必要性に着目した。 過去の様々な調査により,日本の子どもたちの「自己肯定感」は諸外国の子どもたちと比べて,低いという結果が示されている。 平成26年内閣府が行った,満13歳~29歳の若者を対象にした調査「今を生きる若者の意識ー国○課題対応能力 「課題対応能力」は,仕事をする上での様々な課題を発見・分析し,適切な計画を立ててその課題を処理し,解決することができる力である。 ○キャリアプランニング能力 「キャリアプランニング能力」は,「働くこと」の意義を理解し,自らが果たすべき様々な立場や役割との関連を踏まえて「働くこと」を位置付け,多様な生き方に関する様々な情報を適切に取捨選択・活用しながら,自ら主体的に判断してキャリアを形成していく力である。 この4つの能力は,それぞれ独立したものではなく,相互に関連・依存した関係にある。このため,特に順序があるものではなく,すべての者が同じ程度あるいは均一に身に付けさせることを求めるものでもない。これらの能力をどのようなまとまりで,どの程度身に付けさせるのかは,学校や地域の特色,子どもの発達の段階によって異なると考えられる。各学校においては,この4つの能力をふまえて学校の実態に応じた具体の能力を設定し,キャリア教育を通して,育成を目指すことが大切である。 キャリア発達(5)については「在り方答申」では, 際比較からみえてくるもの」(6)では,下記のような結果であった。 両項目のいずれもが,諸外国と比べて低く,日本の若者の「自己肯定感」が低いことが言える。「自己肯定感」が低いままでは,「自己有用感」を味わうことも,自信をもって意欲的に活動できないのではないだろうか。 そこで,「自己肯定感」とキャリア教育で育む資質・能力との関係を見ると,「自己肯定感」が育つと,今後の自分自身の可能性を含めた肯定的な理解に基づき主体的に行動できるようになると考えられる。 そこで,キャリア教育で育む資質・能力のうちの「自己理解能力」に注目をした。つまり「自己肯定感」を得るためには,肯定的で確かな「自己理解能力」を培うことが基盤になると考えた。 「自己理解能力」とは,どのようなものだろうか。「在り方答申」で述べられている,基礎的・汎用的能力(7)を基にすると,「自己理解能力」とは,自分が「できること」「意義を感じること」「したいこと」について,社会との相互関係を保ちつつ, 図1-1 今を生きる若者の意識 図1-2 今を生きる若者の意識 小学校 キャリア教育 2 ―国際比較から見えてくるもの― ―国際比較からみえてくるもの― 68.9%75.0%45.8%86.0%83.1%80.9%82.7%74.4%71.5%73.5%自分自身に満足している自分には長所がある93.1%89.6%92.3%91.4%
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