キャリア・パスポートおわりでは,子どもが1年間の自分の成長や自分の頑張りについて考え,記述する。キャリア・パスポートはじめと比べ,さらなる成長のため,次の学年でさらに頑張りたいことについて考える。 運動会の振り返りでは,「みんなには,協力する力がついたと思う」との記述が見られた。この児童自身も,実感を伴い成長したことを記述している。学習発表会でも,さらに「協力」の質を高め実践している姿がみられた。 また,めあてで書いた「人のことを考えて行動する自分になりたい」という,なりたい自分を目指して学校行事に取り組んだ様子が見られた。 第2節の(1)本研究の全体像の中で示したように,「自己肯定感」を高めるプロセスとして,「自己理解能力」の向上が大切になってくる。この「成長ノート」では,めあてと振り返りを繰り返し行うことで,振り返ったことをもとにして新たなめあてを設定することになる。この過程で「自分はどんなことができるようになったのか」という自己理解をもとに「よりよい自分になるために,次の活動ではどのようなめあてにすればよいか」を考える手掛かりがたくさんもてるようになる。 一方,肯定的な言葉がけでは,自分自身では気付いていないかもしれないことが明らかになることもある。友だちや周りの大人に指摘されることによって,改めて気づくこともある。 これらが相まって「自己理解能力」が高まっていったと考えられる。 第3節 キャリア・パスポート おわり 今年度の研究では,12月に通常年度末に行うキャリア・パスポートおわりを行ったため,今年度の残りの日でさらに頑張りたいことを考えた。 宿泊学習 図3-15 5年 「成長ノート」での変容の様子 運動会 学習発表会 113 〇キャリア・パスポートおわり 自分の成長したことについて,忘れられない,残しておきたい(思い出・出来事・出会い)について 1年間の自分の成長について振り返り,キャリア・パスポートおわりに書き記した。1年間の自分の成長を振り返る際,多くの子どもたちは,「成長ノート」を読み返し,自分の成長について振り返る姿が見られた。今回用いた「成長ノート」のよさは,年間の活動を一枚のシートにしたことで,一目で1年間の自分の変容が見られることにある。 小学生の子どもたちにとって,活動ごとの振り返りを残しておくだけではなく,それを1枚のシートにする意味はキャリア・パスポートおわりを書く時に振り返りをいちいち見返さなくても、シートになっていれば容易に年間の振り返りができる。また、シートに整理することによって年間のつながりが見えやすくなる。 2年生が振り返りを行っている場面で,「成長ノート」を1枚のシートで年間を振り返りを行うことで,1年間の自分の成長を実感するとともに,キャリア・パスポートおわりへの記述内容が豊かになったと考えられる。また,自分の成長に自信がない子どもも,肯定的なメッセージを読み返すことで,自分の成長に自信をもち,自信をもって振り返り,書き残す子どもの姿が見られた。 〇さらなる成長に向けて 1年間の「成長ノート」から見取れる自分の成長の喜びから,自信や自己有用感が得られた。そこから得られた意欲をさらに次の学年での取組につなげようとする姿も見られた。 キャリア・パスポートおわりの「こんな自分になるぞ」は,キャリア・パスポートはじめで記述したことを振り返り,「なりたい自分(次の学年の図3-16 2年 キャリア・パスポートおわりの様子 小学校 キャリア教育 13
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