001総教CR030517R1研究論文(大嶋)
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図3-7 5年 行動についてほめる 2年生と5年生ともに活動中の頑張りや成長について認めるような言葉がけをもらう様子が見られた。子どもたちの多くは,もらった言葉がけを嬉しそうに何度も読み返す姿が見られ,肯定的な自己理解につながっていった。 110 図3-5 肯定的な言葉がけの交流 2年生では,以下のような言葉がけをもらった。 ・練習の時から頑張っていたね。 ・〇〇の工夫をしていてすごいね。 ・〇〇が上手だったね。 ・いっぱい練習してすごいね。 ・楽しそうで私も真似したいです。 など 5年生では以下のような言葉がけをもらった。 ・練習手伝ってくれてありがとう。 ・〇〇さんがいてくれてよかったです。 ・みんなのお手本になっていてすごい。 ・教えてくれてありがとう。 ・あきらめずに何度も 練習しているところがすごい。など 〇教師からの肯定的な言葉がけ 肯定的な言葉がけの活動は,子ども同士だけではなく,教師や保護者などからの大人からの言葉がけも効果的であると考えられる。図3-6 は肯定的な言葉がけの交流の際に,教師が子どもに声かけをしている様子である。 「先生も,この時見ていたよ。すごく頑張っていたね」「あの時,みんなと何回も練習していたね」など,子どもの頑張りや成長などについて大人が価値付けることによって,子ども自身が成長を実感し,自信をもつ子どもの姿が多く見られた。そのことで自分の成長に自信をもち,活動の中で成長したことを生かして,次の活動でも実践している姿が見られた。 また,更なる成長へつなげるためには,教師が「成長ノート」への言葉がけ(コメント)をすることも効果がある。 子どもが運動会の組体操の練習について書いている振り返りである。自分は練習でうまくいかなかったので,「……できなかったからききました」と,うまくいっている友だちに聞きに行ったことについて振り返りを書いている。 そこで教師はできるようになったことやできなかったことを評価するのではなく「すごい!!自ら行動ですね」と聞きに行った行動そのものについて評価をしているのである。 教師は,ゴールの姿に対して,結果としてできたこと,できなかったことだけを評価することが多い。しかし,それらだけを評価するのではなく,こうした,子どもたちのできるようになるための頑張りや挑戦などについても評価をすることで,更なる意欲につながると考えられる。 図3-8は子どもが自分の成長について「はんぶんくらいできてうれしかったです」と振り返っている。教師は,その半分の成長を「はんぶんでも大きな成長!よくがんばっているね」と肯定的に評価している。 図3-6 教師による肯定的な言葉がけ 小学校 キャリア教育 10

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