001総教CR030517R1研究論文(大嶋)
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「成長ノート」では,学校行事ごとに,自分の 109 第2節 学校行事でつなげる 成長ノート めあてを考えて,自分の成長したことについて振 り返り,どんな力が付いたかを書きためていく。 そのため,「成長ノート」を使った実践では,めあてを考える場面は学校行事のはじめの時間,振り返りの場面は,学校行事の活動の振り返りの時間を活用した。 (1)学校行事で付けたい力を明確に 教師と子どもたちが学校行事で付けたい力やキャリア教育で付けたい力などの目標を考え,共有することはとても大切である。そのため,各学校行事の活動はじめに学年で学年集会を開き,付けたい力を共有し,活動を行った。 5年生では,学校行事の活動を見通し,学校行事で付けたい力やキャリア教育で付けたい力を子どもたちと共有した。 次に,どのような場面で力が付くのか具体的な場面を考えた。具体的にどのような場面で力を伸ばしていくかイメージを膨らますことで,一つ一つの学習が意味のあるものになると考える。 これら付けたい力について共有したことや具体的な場面を考えることで,学校行事の学習を見通すことができ,子どもたちはどの場面で自分が付けたい力を育成できるか考えることができた。 決めた目標を基に,子どもたちは,学校行事でなりたい自分の目標を考えた。活動を通して自分はどんなことを頑張りたいか,どんな力を伸ばしたいか等を考え自分の目標とした。 (2)成長ノートで振り返る 学校行事の活動の振り返りの時間を活用し,活動を通して自分が頑張ったこと,挑戦したこと等について振り返り,「成長ノート」へ書き残した。 振り返りを行う前に,活動中に頑張っていたことやすごいと思ったことについて友だちと交流した。 学校行事で成長したことについて「成長ノート」で書きためていき,キャリア・パスポートおわりにつなげられるようにする。そのため,自分自身がどのようなことを意識し,どんな力が付いたかを実感とともに書き記すことができるように活動全体を振り返ったり,肯定的な言葉がけの取組をしたりした。 〇活動全体を振り返る 学校行事の振り返りをする際,子どもたちの多くは,学校行事の本番だけに注目し振り返ることが多い。しかし,「成長ノート」の振り返りを充実したものにするためには,活動全体を振り返ることが大切であると考える。 子どもたちの成長は活動の本番のみではなく,成長の多くは,活動の過程にたくさんあると考えられる。そのことを子どもたちにも実感をもたせ,「成長ノート」で振り返りを行えるようにした。そこで,活動全体を振り返る際,活動の過程の様子が振り返られるように活動の練習の様子の写真を見返した。図3-4は写真で練習中の写真を見返しているところである。 このように写真を使って活動の過程を振り返ることで,子どもたちは「最初はできていなかった けど,今はできるようになった」「この時,うまく いかなかったよな」など,活動中の様子について つぶやきながら振り返ることができた。 また,写真だけではなく,例えば運動会の振り返りでは,体育ノートの振り返りを活用することで,活動全体での成長を振り返る手立てにもなった。 これらを活動の振り返りを行う前に入れることで,子どもたちは自分の成長した場面として,学校行事本番だけではなく,活動の過程でもたくさん成長したことに気付けた。 〇友だちからの肯定的な言葉がけの交流 さらに自分の成長を実感するために,友だちからの肯定的な言葉がけの交流を行った。活動中,友だちについて「頑張ったと思ったこと」や「すごいと思ったこと」などについて付箋で書き,図3-5のように交流を行った。 図3-4 学校行事の過程を写真で振り返る 小学校 キャリア教育 9

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