いる。この根拠には事実である「事実・しょうこ」と事実に対する自分の解釈である「理由」に分けている。例えば,理科の「植物の成長と日光の関わり」の単元において「植物の葉に日光があたると,葉にでんぷんができるだろうか」を問題解決する学習がある。この時,論証フレームを活用すると,図2-3のように活用できる。 有無 34 20%0%図2-1 論理的に考え,表現する力を見取る調査の結果 気 電 気天 いことと,学年が上がれば論理的に考え,表現する力が自然と身に付くわけではないということが明らかになった。 20%51%41%42%この論理的に考え,表現する力の育成に向けて,次の三つの視点に配慮することが大切だと考える。 一つ目の視点は,子どもが論理的に考え,表現することの良さを感じることである。良さを感じなければ活用する意欲も出てこないだろう。 二つ目の視点は,子どもが論理的に考え,表現するとはどのようなことか自覚できなければ,どのように考えたらよいか,どういった学習や場面で活用できるのかが分からない。では,論理的に考え,表現することを自覚させるにはどうすればよいのだろうか。それは,論理的に考え,表現することを可視化することである。可視化することで自身が自覚するだけでなく,お互いの考えも理解しやすくなり話合いの手立てとなるだろう。 三つ目の視点は,根拠の棲み分けを意識させることである。これまでも論理的に考え,表現する力を育成するために「どうしてそのように考えたのか。」と子どもに問いかけて考えた根拠を聞くような学習を目にしてきた。このような根拠を明確にする学習は大切である。しかし,事実を示しさえすれば多くの人が納得し,正解としてしまうことが多いように感じる。事実をどう捉えるかは人それぞれであろう。そのため,自分の考えをどんな相手にでも分かるように表現することが大切である。つまり,根拠に事実を示すだけでなく,事実をどのように解釈したことで主張につながるかといったことも踏まえて表現する必要があるということである。 以上のような三つの視点から右図2-2のような思考を可視化したワークシート(以下.論証フレーム)を活用する。 右図2-2の論証フレームは,自分の結論である「主張」とそれに対する根拠が書けるようにして 学習活動を目指して 主張事実・証拠理由付け主張事実・証拠理由付け40%60%80%87%80%49%81%19%59%58%13%さらに,この論証フレームを活用することで,相手の話の何が事実で,何が主張かといったことが見てとれるため,それぞれの考えを理解し話しやすくなる。そうすることで,多くの人が納得する考えを導き出すといった科学的な問題解決力に迫っていけると考える。 (2)クリティカル・シンキングを促す 第1章第3節(1)で科学的に検討していくために,クリティカル・シンキングが必要であること100%図2-2 思考を可視化する論証フレーム 図2-3 論証フレーム活用例 図2-3のように「事実・しょうこ」には観察・実験等で得た事実を記述する。「理由」には「事実・しょうこ」からどうして「主張」が言えるかといった解釈を記述する。そして,「主張」には問いに対する自分の考え(自分の結論)を記述する。この「事実・しょうこ」「理由」「主張」を意識して思考・表現していくことにより論理的に考え,表現する力を高めることが期待できる。 小学校 学習指導法 6 要素の記述の有無n=278(人)
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