第2章 探究する学習の充実を目指して 第1節 科学的な問題解決力を育む方策 (1)思考ツールを活用し,論理的に考え,表現(3) 前掲(1) (4) 前掲(1) (5) 文部科学省「小学校指導要領解説 総合的な学習の時間編」東洋館出版 2008.8 p.13 (6) 前掲(1) こと」(16)と示している。そのため,理科で育成を目指す科学的な問題解決力を総合的な学習の時間でも発揮・活用させ,探究的な学習としていくことで,汎用的な資質・能力にもなるだろう。本年度は主に理科を習得の場面,総合的な学習の時間を発揮・活用の場面としているが,順序性があるわけでなく,総合的な学習の時間において習得した科学的な問題解決力を理科の学習で発揮・活用する場面もあると考えられる。 探究的な学習の充実を目指し,教員はそれぞれの単元での理科の学びでどのような資質・能力が育成されているかを理解し,その資質・能力が効果的に発揮・活用できるのは,総合的な学習の時間のどの学習かを考え,学習する順序や時期などを考慮し,各教科等の枠を越えた学習となるように計画していくことが大切になってくると考えるのである。 (3)研究の全体像 理科の学習で科学的な問題解決力を習得し,総合的な学習の時間で身に付けたその資質・能力を活用するといった探究的な学習を展開していくことで,教科等で身に付ける資質・能力が汎用的になり,「生きる力」の育成が実現できると考える。以上のような視点を踏まえ,本研究の全体像を図1-3に示す。 図1-3 本研究の全体像 図1-3のような研究を進めることで,「様々な問題に対し,根拠に基づいて多面的に考え,解決する子」といった子ども像を目指す。このような目指す子ども像に迫ることで,予測困難とされる将来でも「生きる力」の一部となっていくだろう。 小学校 学習指導法 5 (7) 国立教育政策研究所「OECD生徒の学習到達度調(PISA2015)のポイント」 p.4 http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2015/01_point.pdf 2020.3.1 (8) 前掲(1) (9) 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編」 (株)東洋館出版社 2018.2.28 p.12 (10)国立教育政策研究所 「平成27年度全国学力・学習状況調査 調査結果資料 【指定都市別 京都市】問題別調査結果京都市-児童(公立)理科」 2019.6.21 国立教育政策研究所 「平成30年度全国学力・学習状況調査 調査結果資料 【指定都市別 京都市】問題別調査結果京都市-児童(公立)理科」 http://www.nier.go.jp/18chousakekkahoukoku/factsheet/18prefecture-City/512_kyoto/index.html 2020.3.1 (11)前掲(10) (12)前掲(9) pp..17~18 (13)前掲(9) p.16 (14)前掲(1) (15)奈須正裕 「資質・能力と学びのメカニズム」 東洋館出版社 2017.5.30 pp..61~66 (16)前掲(1) 33 する力の育成を目指して 科学的な問題解決力を高めていく上で,その基盤となる論理的に考え,表現する力が欠かせない。理科は従来から問題解決の学習活動を重視しているため,論理的に考え,表現する力を育成する上で有効な教科の一つである。 山本(16)は小学校第5・6学年を対象に,論理的に考え,表現する力を調査した。次頁図2-1は,その調査において子どもの記述の中に問題に対する答えとなる「主張」と主張を裏付ける「事実・証拠」,主張と事実・証拠をつなぐ「理由」があるかを調査した結果である。この調査では記述の有無を調べたもので,内容の正しさを問うものではない。 次頁図2-1を見ると,どちらの内容においても主張は8割以上の子どもが記述できていたが,事実・証拠や理由といった根拠を記述できていない子どもはどちらの分野でも約5割を超えている。このことから,理科の学習をただ積み重ねても論理的に考え,表現する力が育っているとは限らな
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