001総教CR030517R1研究論文(西村)
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評価の観点 表1-1を見ると,評価の観点における科学的な思考・表現を問う内容の正答率が一番低い傾向にあることが分かる。さらに,科学的な思考・表現の分析を進めるため,解答形式別の結果に注目した。その結果を整理したものを表1-2に示す。 問題形式 ② 各教科等に共通して育むことのできる学習の基盤 2観察・実験の技能及び自然事象についての知識・理解実践前後の児童アンケートの「理科の学びは,将来役に立つ」の設問に対し,5年生の方では肯定的な回答が減少したことである。このような理科を学ぶ意義や有用性の低さは,国内外の調査においても同様の傾向が示されている。例えば,OECDにおける調査では,「自分の将来に理科の学習が役立つと感じている」や「科学の話題について学んでいるときは楽しい」等の設問に対しては,すべての観点においてOECD平均を下回る結果となった(7)。 これからの社会では問題を科学的に解決する力は重要な資質・能力の一つであると考えている。この科学的に問題を解決する力については,次節で詳しく述べる。その理由は「はじめに」で述べたようにESDの充実を目指す上でも必要不可欠であるからだ。そして,科学的に問題を解決する力を身に付ける上で,理科の学びは重要である。 以上のことから,理科で科学的に問題を解決する力の育成に迫りながら,理科を学ぶ意義や有用性を感じられる学習の在り方についても考える必要がある。 第3節 本研究の構想 各教科等の枠組みの中での探究的な学習と,各教科等を越えた探究的な学習を通して育むことのできる資質・能力とはどのようなものであろうか。平成28年の答申に示された,学校教育を通して育成を目指す資質・能力を整理すると以下のようになる(8)。 ① 教科等の枠組みの中で各教科等に合わせて育むこ 平成28年の答申では,探究的な学習を通して,上記にある三つの資質・能力を育むことを目指していることが示されている。 (1)教科等の枠組みの中で育む 教科等の枠組みの中で育む資質・能力とはどのような力で,どのように育成していくとよいのであろうか。本研究では,1年次の研究を踏まえ,理科を例として考えていく。 理科で育成を目指す資質・能力は,小学校学習指導要領解説理科編において,次のように示されて③ ①②を踏まえ,現代的な諸課題に対応できるようとのできる力 となる力 になるための力 自然に親しみ,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどを通して,自然の事物・現象についての問題を科学的に解決するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。 (1)自然の事物・現象についての理解を図り,観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにすること。 (2)観察,実験などを行い,問題解決の力を養う。 (3)自然を愛する心情や主体的に問題解決しようとする態度を養う。 表1-1 平成27年度・30年度全国調査一部抜粋(10) 表1-2 平成30年度全国調査の科学的思考・表現の 小学校 学習指導法 3 31 科学的な問題解決力 いる(9)。 (1)~(3)にあるように「知識・技能」や「思考力・判断力・表現力等」,そして「主体性,人間性」をバランスよく育もうとしているが,その最終目標には「問題を科学的に解決する力」といった資質・能力の育成を目指していることが分かる。 これらの力は,これまでも育成を目指していたが,現状はどうなのであろうか。一つの指標となる平成27年度と平成30年度の全国調査から,本市の子どもたちの傾向を考えてみる。本市の全国調査の理科の結果を表1-1に示す。 平成30年度の科学的な思考・表現の選択式の平均正答率は62.4%だが,記述式の問題の平均正答率は32.2%であった。このことから,科学的に思考することに加え,思考したことを表現することはさらに指導を充実させていくことが重要であると考える。このような結果は全国でも同様の傾向が明らかになっている。この科学的な思考・表現とは解答形式別結果(11) 分類解答形式設問数(数)平均正答率(%)無解答率(%)選択式記述式科学的な思考・表現10区分全体自然事象への関心・意欲・態度62.40.332.33.9平均正答率(%)H30H2764.063.984.457.480.162.666.8

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