実践前 実践後 ・国語科や社会科においても事実の拠り所を考える姿 本研究実践を通し,子どもたちの問題を解決する時の姿勢や理科,総合的な学習の時間以外にも論理的に考えたりクリティカル・シンキングしたりする姿があると示されている。他教科等で論証フレームを活用しクリティカル・シンキングをめぐらせるような場面があったというのは,子どもたちが目指す資質・能力を意識でき,より汎用的になったと考えられる。このことは,本研究の成果の一つと考える。 さらに大きな成果と言えるのは,下線部にあるように「教科を越えて指導したい資質・能力」を「どの教科でも指導することの大切さ」として指導者自身が感じたことである。各教科の指導において,子どもたちにどのような力をつけるのかを意識して指導していくことで,目指す資質・能力の効果的な育成も期待できる。さらに,子どもたちにとっては,教科を越えて指導されることにより,目指す資質・能力が汎用的になりやすくなり,社会に出たときに発揮・活用しやすい力になることも期待できる。 (2) 児童対象質問紙調査の結果から <論理的に思考する学習の充実> n=88(人)n=88(人)n=88(人)46 ることが増えた。 ・どの教科でも主張・事実・理由を意識するようになった。また,すぐに納得するのではなく,言い切っていいのかなど言葉にこだわる姿も見られるようになった。 が増えた。 ・算数科の考え方の説明の学習で,級友の発表に対して鵜呑みにせず質問をする場面が見受けられた。 ・教科を越えて指導したい資質・能力を考え,どの教科でも指導することの大切さを学びました。 子どもたちが論理的に考え,表現できるように論証フレームを提示することで,考察するときにどのように思考し表現したらよいか分かるようにした。右図4-5は考察するときに,どのように書くとよいか分かるかについて問うた。 右図4-5を見ると実践前に比べ,「そう思う」と「だいたいそう思う」と肯定的に回答した子どもが15.7ポイント上昇した。論証フレームを明示することで,子どもたちがどのように考えたらよいか理解したことが分かる。先述した論証確認テス トの結果の平均正答率の上昇が見られたのも,子どもたちが論証フレームを理解し,意識して授業で活用したことが関係していると考えられる。 さらに,考察の書き方について理解し,表現できることは,「多くの人が納得するよう論理的,クリティカルに答えを導く」上で必要な,対話的な学びにつながる。そこで,理科の学習で自分の考えを発信しているか問うたアンケートの結果を図4-6に示す。 実践前 実践後 な回答が上昇しているのが分かる。論証フレームを示すことで,自分の考えを説明する内容が明確になり,説明や発表につながったと考える。 <クリティカル・シンキングを促す学習活動> 対話的な学びの充実に向け,対話カードを提示し,クリティカル・シンキングを促すことができるように手立てを行った。そこで,子どもたちが考えを広げたり深めたりするために,どのように話合えばよいかについて問うたアンケートの結果が図4-7である。 実践前 実践後 結果から考えたこと(考察)を書くとき,どのように書くとよいか分かる。図4-5 児童質問紙調査回答結果① 図4-6 児童質問紙調査回答結果② 図4-6を見ると,実践前後で比べると,肯定的友だちと話し合いながら考えを深めるとき,どのように話し合ったらよいか分かる。図4-7 児童質問紙調査回答結果③ 小学校 学習指導法 18 そう思うそう思うそう思うだいたいそう思うあまり思わないだいたいそう思うあまり思わないだいたいそう思うあまり思わない思わない思わない思わない0%理科の授業で,自分の考えをグループ交流や全体交流の場で,説明したり,発表したりしている。0%0%29.4%41.7%55.7%36.0%23.4%42.6%32.8%48.7%50.0%20%40%60%20%40%20%40%80%100%100%60%80%100%60%80%8.3%20.6%3.3%31.1%9.8%25.2%15.3%1.6%23.0%2.6%34.2%14.5%0.0%11.5%38.5%
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