わると思いました。 C1:じゃあ,チェック者の人はだれだったかな。 C4:はい。C2さんに質問です。①南から北に動くというのは絶対と言い切れますか。 C2:・・・。分からない。 C4:みんなで解決しないといけないね。 C1:(みんなで)解決しよう。 C3:う~ん。分からない。どうしたらいいの。 C5:じゃ,②みんなのこれ(結果)を集めたらいいんじゃないかな。 C4:そうだね。みんな貸して。 <結果の図を重ね合わせ,みんなで確認する> C1:だいたいそうやね。じゃ,「台風は南から北に動いてる」でいいね。 以下,事実・証拠や理由を確認しながら意見 をまとめる 下線①にあるように,チェック者が発表者の理由に対してその解釈で本当によいのかを質問している。これは,手立ての一つである論証フレームを活用したことで,発表者の思考が可視化されたからである。思考の可視化により,チェック者が発表者の思考を捉え,疑問を見つけ質問したと考えられる。その結果,発表者は本当にそう言い切れるか迷いが生じ,自分の考えに対し,クリティカル・シンキングを働かせている。そして,自分の調べた二つの事実や証拠だけで言い切れるのかどうか悩み,「分からない」と答えている。 次に,発表者の困っている様子から,グループで解決しようとする姿が生まれている。そして,下線部②でデータを多く集めることで言い切れるのではないかという提案をしている。このことは,手立ての一つである与えたデータ数が関係している。複数のデータがあることを知っている子どもたちに,「自分が気付いていない情報が他にあるのではないか」という考えが生まれ,できるだけ多くの情報を集めたいという思いが生まれたからであろう。この提案があったことで,各々が調べた結果を見比べ,台風の動きの傾向を見出し,グループで解決に向かうことができた。 そして,このような話合いの結果,グループの発表では以下のようにまとめた。 今日調べた台風の動きから(事実・しょうこ), ほぼ南から北に動いているので(理由),台風 のときの天気は南から北に変わる(主張)。 上記のようにグループとしての結論をまとめられたのは,クリティカル・シンキングを促す対話的な学びを通し,多くの他者が納得した解を導い たからだと考えられる。 以上から,三つの手立てを講じたことにより,クリティカル・シンキングを促す対話的な学びとなり,発表者は自分の考えを見直し,検討することができたと考える。加えて,発表者以外の子どもも同様に,チェック者の質問に対し,解決するために自分たちの意見が妥当かどうかを探ろうとする姿が見られた。このようなやり取りの結果,多くの人が納得する解を論理的に考えたり,クリティカル・シンキングしたりして導くことができたと考える。 第2節 習得した資質・能力を発揮する 発見課題 追究課題 提案課題 熟成課題 表現課題 表3-1 「えがおあふれる ○○の町」の概略 探究の過程 小学校 学習指導法 13 総合な的な学習の時間 総合的な学習の時間に論理的に考え,表現する場面やクリティカル・シンキングを促す対話的な学びを行う場面を設定することで,習得した資質・能力を発揮・活用させ,探究的な学習を展開した。 (1)A校 第4学年「えがおあふれる○○の町 ~高齢者とともに~」の実践から 本単元では自分たちの住む地域の高齢者について調べ,みんなが生き生きと生活ができるようにするために,一人一人の違いを認め,相手を理解し,相手のことを考えて接していくことが必要であることに気付いていく学習である。学習の概略は表3-1に示す。 発見課題や追究課題では,高齢者について調べたり,高齢者の疑似体験をしたりすることで,自分たちの地域の高齢者に目を向け,もっと関わり合いたいという気持ちを高めた。そして,高齢者の方とより関わり合うために,「お年寄りの人を笑顔にする方法を考えよう。」と自分達にどんなことができるのかと課題を設定した。 学習内容 ・みんなが笑顔になれる町について考える。 ・高齢者と交流したり,高齢者の疑似体験をしたりして,高齢者について調べる。 ・高齢者を笑顔にするためにできることを考える。 ・もっと笑顔になってもらうために,どうするか考える。 ・高齢者を笑顔にするためにできることを発信する。 41
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