001総教CR030517R1研究論文(西村)
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図2-8を見ると,本市の単元構想は図2-7にあった探究の過程を5回繰り返し,それぞれの段階を「発見課題」「追究課題」「提案課題」「熟成課題」「表現課題」と整理している。発見課題では,探究する課題を発見する段階。追究課題では,追究したい課題に様々な形で向かい自分なりの考えをつくる段階。提案課題では,自分の考えを実現するために必要な提案を考える段階。熟成課題では,様々なアドバイスを受けて自分の考えを練り直す段階。表現課題では,練り上げた考えを実行したり,表現したりし,自分の学びを今後に生かす段階である。 上記の,調査の流れについて図2-6に示す。 事前 テ スト (((単元ごとの論証確認テスト単元ごとの論証確認テスト授業実践理科)総合的な学習の時間)授業実践授業実践理科)「電池のはたらき」事後テスト「電池のはたらき」まとめ・表現課題の設定まとめ・表現整理・分析課題の設定情報の収集整理・分析まとめ・表現課題の設定まとめ・表現情報の収集課題の設定整理・分析まとめ・表現情報の収集整理・分析情報の収集課題の設定まとめ・表現情報の収集課題の設定整理・分析情報の収集整理・分析実践する前に子どもの力を見取るために「事前 論証確認テスト」(以下.事前テスト)を行う。そして,授業実践が終えた後に,事前テストと同一の問題について解答させた「事後 論証確認テスト」(以下.事後テスト)をする。これらにより,研究全体の分析に活用する。このテストは,実践前にも行うことから,既習内容を出題する必要があり,本研究では図2-5の論証確認テストを「事前テスト」「事後テスト」とする。 図2-6の流れで見取りを行い,「単元ごとの論証確認テスト」は先述した授業改善などにも活用し,「事前・事後テスト」は本研究全体を通して,科学的な問題解決力の育成に迫ったかを考察するために活用する。 第2節 教科横断的な学びに向けて 理科を通して論理的に考え,表現するスキルやクリティカル・シンキングを促す対話的な学びにより科学的な問題解決力の育成に迫ることができる。さらに,理科だけでなく意図的に各教科等の枠組みを越えた探究的な学習を展開していくことで,目指す資質・能力のさらなる育成が期待できると考える。 この各教科等の枠組みを越えた学習の中核として総合的な学習の時間が位置付けられている。小学校学習指導要領解説総合的な学習の時間編では,総合的な学習の時間のプロセスが,右図2-7のように示されている。 右図2-7を見ると「課題の設定」から「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・表現」といった探究の過程を繰り返し行うことが示されている。本市は,小学校学習指導要領解説総合的な学習の時間編に示されたプロセスを踏まえ,右図2-8のような学習プロセスを基本とし単元構想としている。 37 図2-6 論証確認テストの流れ 図2-7 総合的な学習の時間のプロセス 図2-8 本市における総合的な学習の時間の単元構想 小学校 学習指導法 9 発⾒課題この単元構想の中で,特に提案課題から表現課題に至る過程に注目したい。 多くの学校では,次のような流れで学習が進むことが多いように感じる。提案課題の場面では,提案することを考えた後,その提案を有識者に聞いてもらい,アドバイスをもらう。熟成課題の場面で,アドバイスを基に提案を修正する。そして,表現課題でよりよい考えや表現方法となったものを発信するといった流れである。 この過程の中で,提案課題における自分の考えは課題に対する仮説と言えよう。多くの小学校では,この仮説を実際に正しいか実践してみることが少ないように感じる。確かに,有識者に聞くの追究課題提案課題熟成課題表現課題■日常生活や社会に目を向け,児童が自ら課題を設定する。■探究の過程を経由する。①課題の設定②情報の収集③整理・分析④まとめ・表現■自らの考えや課題が新たに更新され,探究の過程が繰り返される。

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