話合い活動が終われば,「次に向けて」に振返りを記入する。振返りの視点としては,話合いの人数や内容,児童への支援の仕方等であり,次回の話合い活動での効果的な人間関係形成能力の育成を目指すために活用する。シートの「生徒指導の3機能チェック」については,児童の支援の仕方に関わるところであるが,詳しくは後述する。 小学校 特別活動 7 え導入していく。 一つ目は,合意形成を目指す話合い活動全てに共通の振返りを記入できるようにすることである。教科等異なる集団活動で行う合意形成を目指す話合い活動のワークシートに,共通の文言を用いて振返りを行う欄を設ける。そうすることにより児童が,話合い活動間のつながりを意識できると考える。 二つ目は,話合い活動の中で児童から出た合意形成の方法を書き留め,共有していける掲示物を作成することである。この掲示物は,新しい方法が出てこれば,その度に付け足していき,児童が活用できるようにしていく。これらを行うことにより,ある教科等での学びを別の教科等で生かすことができたり,普段の生活の中で生かすことができたりすると考える。 三つ目は,場面リーダー輪番制の導入である。これは,話合いの進行役や書記等の役割を輪番で行い,児童が活動のつながりを意識できるようにするものである。さらに,児童同士の良好な関係性を築き,個々の人間関係形成の力を育成する手立てになると考える。 合意形成を目指す話合い活動において大切なことは,どのような方法で合意形成を行うのかということに加え,児童同士の関係性をどう構築していくかである。石川(14)は,「対話を重ねる面倒くささを避け,発言力の強い誰かの一言で決めてしまおうとしたり,機械的に多数決で決めたがったりするのではなく,傾聴する姿勢や多様性を受け入れる寛容さが合意形成を促すことになる」と述べている。それこそが,人間関係形成能力であり,合意形成を目指す話合い活動の中で育んでいくべき資質・能力であると考える。場面リーダー輪番制でそれぞれの役割を輪番で行うことにより,お互いの立場を理解することができ,協力していこうという気持ちが育まれると考える。そして,それが児童同士の良好な関係性の育成につながるだろう。 また,進行役は話合いをリードしていくリーダーシップ力が必要ではあるが,一方的に進めていくものではない。話合いの参加者が,意見が言いやすいように必要に応じた質問をしながら思いを引き出し,出た意見を整理・分類する力が必要である。そのような役割を全員が担う中で,集団として「傾聴する姿勢や多様性を受け入れる寛容さ」を育むことができると考える。 11 図2-1 「合意形成を目指す話合い」計画・振返りシート (2) 教科横断的な視点の導入 学校生活の中で児童が合意形成を行う必要がある場面はたくさんあり,人間関係形成能力を育むことを目的とし,それらを意識的につなげていく。そこで,各教科等の話合い活動の機会を,教員が意識してつなげることができるよう,活動前に話し合う内容や話合う方法,特に育成を意識する資質・能力等,簡単に書き留めていけるような計画シートを活用していく。図2-1は,「合意形成を目指す話合い計画・振返りシート」である。 また,それぞれの話合い活動で習得したスキルを次の活動に生かせるようにするためには,児童にもつながりを意識させていくことが効果的であると考える。児童がつながりを意識するために,次の三つの手立てを取り入れることが有効であると考
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