第1節 合意形成を目指すために 相談型:リーダーがメンバーに相談してから決定する。 民主型:みんなで議論してから投票で決定する。 8 第2章 人間関係形成能力育成にむけて 合意形成を目指す話合い活動を行う際,何を合意形成させていくのか,また,話し合う人数等の話し合う方法をどうしていくのかを計画していく必要がある。その際,児童同士の人間関係が話合いを大きく左右すると考えられるので,児童の実態に応じ人間関係等も考慮していくことが重要である。 第1節では,合意形成を目指す話合い活動の計画と話合いのプロセスについて述べていく。 (1) 話合い活動の計画 〇話し合う内容 教科等には個々の目標があり,育むべき資質・能力がある。そのため,話し合う内容についてもその目標に基づき決めていくことになる。総合的な学習の時間において,グループで調べ学習をして発表するといった取組であれば,そのテーマを決めたり,発表の仕方を決めたりすることが話し合う内容になる。話し合う際は,グループで自由に考えたり,いくつかから選んだりすることが考えられる。また,最終的に出た意見を一つに絞るのか,一つに絞らなくてもよいのかなど,話し合う内容により,合意形成の仕方が変わってくるだろう。これらの話し合う内容は,教科等の目標や児童の実態を鑑みながら,人間関係形成能力育成の視点で厳選していくことが有効であると考える。 〇話し合う方法 学級会のように,話合いをするまでに時間的な余裕があるときは,話合い方や進め方など事前に計画しておくことができるが,それが難しい場合も多い。どちらの場合にしても,話合い方や話し合う人数等を適切に判断していくことが,合意形成ができるかどうかに影響するだろう。 では,話し合う方法としてどのようなものが考えられるのだろうか。シュワーツは,グループにおける意思決定のプロセスのタイプとして下記の四つを挙げている。(9) コンセンサス型:みんなで議論して,全員一致の賛成委任型:リーダーがグループに決定を委任する。 これらを学級での話合い活動に置き換えると,相談型は,学級代表等のリーダーが事前にあらかじめ決めておいた意見を提示していきそれでよいか相談していって決定していくイメージである。民主型は,学級代表などがリードし,意見を聞いていき,多数決で決めるイメージ,コンセンサス型は,学級会やグループでの話合い等で,司会などの進行役を決めて,全員の意見を収束させていくイメージ, 委任型は,進行役を決めなくても,話合いに参加する全てのメンバーが意見を出し合い臨機応変に役割を担いながら決定していくイメージである。児童の発達段階や,学級の実態に応じて型を決めていくことになるが,人間関係形成能力の育成を目指す本研究においては,できる限り児童が意見を出し合い,納得解を導いていけるようにすることが大切だと考えるので,コンセンサス型から委任型を目指していく。 表2-1 グループサイズによる効果の違い 小学校 特別活動 4 次に,話し合う人数について考えていく。学級で話合い活動を行う際,話し合う内容や児童の実態に応じて人数を使い分けていくことで,参加する児童の参加意識が変わり,効果的になると考える。石川(10)は,グループワーク等でグループになる場合,その場にいる意義を参加者が感じられる程度に関わり合えるサイズが望ましいと述べ,グループサイズの違いによる効果を示した。それを筆者が以下のようにまとめた。 合意形成を目指す話合い活動において,全員が話合いの場にいる意義を感じられるように,話し合う人数を考え計画をしたり,その場に応じて人数を変えたりしながらより効果的に進められるようにするのがよいだろう。学級会においても,必ずしも全員で話し合うというものではなく,全員の場,ペで決定する。
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