001総教CR030517R1研究論文(中澤)
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(1)多様な他者と協働する様々な集団活動の意義や 活動を行う上での必要となることについて理解し,行 動の仕方を身に付けるようにする。 集団活動を行う上で必要となることを理解し,行動の仕方を身に付けるということは,合意形成を行う意義の理解やそのための方法を学ぶことが必要ということである。 以上のことから,合意形成を目指す話合い活動を通し人間関係形成能力を児童に育成するためには,まず合意形成のプロセスを明確にし,その上で児童に合意形成を目指す話合いそのものを指導することも必要である。つまり「合意形成を目指す話合いそのものを段階的に学ぶこと」と「合意形成を目指す話合い活動を通し人間関係形成能力を育むこと」の両方が大切だと考える。そのため,その他教科等の学びやそれぞれの教科等の特性を生かしながら,段階的に合意形成を目指す話合いそのものを学びつつ,人間関係形成能力の育成に向けた計画を教科横断的な視点で行い実践していくことが必要だと考える。 (2)集団や自己の生活,人間関係の課題を見いだし, 解決するために話合い,合意形成を図ったり,意思決 定したりすることができるようにする。 課題を解決していくために合意形成できるようにすること自体が,育むべき資質・能力であると示されている。新学習指導要領の中で,合意形成という言葉が出てくるのは,特別活動のみであるが,児童が協力して活動していく集団活動の中には,何かを話し合って決めなければいけない場面が必ず出てくる。 て A 「話合い」の指導法の確立が明確になされていない B 指導者自身,「話合い」そのものがどのようなプロ 指導者自身が,合意形成をするためのプロセスもる(6)。 例えば,総合的な学習の時間においても様々な集団での活動の機会がある。集団で課題を見つける際,どのような課題に取り組むのか,またどのようにまとめ発表していくのか等話し合って決める必要がある。さらには,体育科の時間で取り組むリレーでは,どのような順番で走るべきなのか,球技では,前半と後半をどのようにチーム分けすればよいのかなどの機会もあるだろう。これらは,もちろん,授業の時間だけではなく,児童同士の遊びの時間などにもあてはまる場面がある。 合意形成を目指す話合いが,人間関係形成能力育成において重要な役割を果たすことは前述したが,年間35時間の学級活動の中のみでは時間的制約が大きい。そこで,特別活動の時間はもちろんだが,その他の教科等で行う集団活動の機会を活用し,合意形成を目指す話合い活動を意識的に取り入れていき,児童の人間関係形成能力を育成していく。 合意形成を目指す話合い活動を取り入れる際の課題はどのようなものがあるだろうか。 長谷(7)は,合意形成を目指す「話合い」を指導することに関し,次のような課題があると述べている。 その指導方法も明確に把握していない。 また,長谷は,子どもに合意形成を目指す「話合い」そのものを指導することが,合意を図るために不可欠な学習であると述べている。新学習指導要領解説特別活動編においても,特別活動で育むべきこと セスを経て,一致点(合意など)に至るのかが,曖昧であること (下線は筆者による) 小学校 特別活動 3 (1)文部科学省「OECDにおける『キー・コンピテンシー』についhttp://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/039/siryo/attach/1402980.htm 2020.3.1 (2)文部科学省「小学校学習指導要領解説総則編」東洋館出版社2018.4 p.53 (3)中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」2011.1http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2011/02/01/1301878_1_1.pdf 2020.3.1 (4)石川一善 小貫仁 「教育ファシリテーターになろう」 弘文堂p.135.2015.2 (5)長谷浩也,重内俊介「合意形成能力を育む『話合い』指導―理論と実践―」明治図書p.4 2018.9 (6)文部科学省「小学校学習指導要領特別活動編」東洋出版社 2018.4 p.11 (7)前掲(5) pp..18~19 (8)前掲(6) p.8 資質・能力の一つ目の柱(知識・技能)に,以下のような内容がある(8)。 7

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