○知識・技能 ○思考力・判断力・表現力等 ○学びに向かう力・人間性等 本研究では,このような資質・能力の育成を目指 多様な集団における人間関係形成能力 また,新学習指導要領解説総則編(2)では,現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力の例として「グローバル化の中で多様性を尊重するとともに(中略)多様な他者と協働しながら目標に向かって挑戦する力」を挙げている。さらには,中央教育審議会の「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」で挙げられた「基礎的・汎用的能力」の一つに「人間関係形成・社会形成能力(3)」がある。 これらに述べられている資質・能力の中で,本研究で育む資質・能力を新学習指導要領の三つの柱 (1)合意形成とは 6 A 他人と円滑に人間関係を構築する能力 B 協調する能力 C 利害の対立を御し,解決する能力 に分けて具体的にまとめると以下の通りである。 し,実践検証していく。 第2節 人間関係形成能力を育むために 何かを決めるときには,異なる考え方や立場を理解し,尊重し合いながら,互いの意見の一致点を求めていくことが必要であり,それを合意形成という。合意を説明するにあたり,石川(4)は,合意と似たような言葉の同意と比較しながら,次のように説明している。「『同意』は文字通り『同じ意見』となることであり,結果に対して納得することである。(中略)一方で,「『合意』は過程に対して納得することである。」では,過程に対して納得するためには,どうすればよいのだろうか。合意を行う手段は,話合いである。話合いの過程で,自分の思いを十分に伝え,それぞれが少しでもそれを考慮してもらえたと思えるようにすることである。長谷,重内は,「『話合い』の帰着点として妥協,譲歩だけで終わらせるのではなく,それぞれの立場の者に,新たな考えを導き出させることが必要不可欠である」(5)と述べている。そのため,少数意見も大切にしながら話し合うことが大切だと考える。つまり,話合いに参加する全員が,自分の思いを伝えること,そしてそれをしっかりと聞き,受け入れたり,相手の考えや立場を尊重したりする関わりが必要だと考える。このような合意形成を目指す話合い活動には,本研究で目指す人間関係形成能力の育成の機会が大いにあると考え取り入れていく。 (2)教科横断的に 学校の教育活動のどのような場面で,児童の合意形成の機会があるのだろうか。新学習指導要領解説特別活動編において,特別活動を通し,目指す資質・能力二つ目の柱に,次のような内容があ①自分の思いを正確に伝える力 ②相手の意見を聴く力 ③互いの考えや立場を理解し尊重する力 ④互いのよさや可能性を生かす力 ⑤集団を調整する力(リーダーシップ力) ⑥進んでよりよい人間関係を築こうとする力 小学校 特別活動 2 前者の課題は,前述のように教科横断的な視点で計画を立ていくことが必要だろう。後者に関しては,学級会の進め方等の方法をある程度示していくことで,経験の浅い教員にとっても見通しを持ちながら取り組むことが可能になると考える。 これらの現状をふまえ,本研究では,話合い活動や実践における児童同士の関わりを大切にした集団活動に取り組んでいく。 (2)今なぜ,人間関係形成能力か 社会はますます急速に変化し,予測が困難な時代になってきている。そのような変化に積極的に向き合い,よりよい未来の創り手となるためには,多様な他者と協働して課題を解決していく力が必要になってくる。情報技術の飛躍的な進化等で様々な分野のつながりが,国境や地域を越えて活性化してきているため,人種・世代など異なる価値観・倫理観を持ち合わせた多様な人々と関わる機会が今まで以上に増しているからである。お互いを受け入れることができなければ,摩擦が起きてしまうということも予想できる。そこで,異なる価値観・倫理観を受け入れ,多様な他者とよりよい関係を築くことができる力の育成が必須となると考える。本研究においてはそれを「人間関係形成能力」とし育成を目指していく。 人間関係形成能力の育成の必要性については,世界各国で述べられており,その一つにOECD(経済協力開発機構)が挙げたキー・コンピテンシーがある。三つのキー・コンピテンシーの一つに「多様な集団における人間関係形成能力」がある。内容は以下の通りである(1)。
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