図4-3グループでの話合い 図4-4 話合い後の全体 A「話合い」の指導法の確立が明確になされて B指導者自身,「話合い」そのものがどのよう なプロセスを経て,一致点(合意など)に至 るのかが,曖昧であること Aに関しては,本研究の実践よりある程度確立できたと考える。Bに関しては,研究協力員の先生方のように,実際に活動を取り入れながら学ぶ部分が多いと考える。本研究は,新しいことに取り組んだものではない。これまでもいろいろな場面にあった,合意形成を目指す話合いの機会を意識的につなげていったものである。つまり,教員が意識してつなげていったことで,それぞれの話合いの機会が人間関係形成能力育成の視点でつながり,児童の人間関係形成能力の育成につながったと言える。 26 図4-5 実践後の学級通信(B校) えた様子である。こうすることで,自分の意見が グループの意見として学級全体の場に伝わることで,自分も学級会に参加し,自分たちで決めたという思いになっていた。 〇共感的な人間関係を育成する ・児童のよい発言や行動を認める 実践の中で,担任教員が,その時を逃さず児童の良い発言や行動を認める様子が伺えた。直接伝えることも効果的だが,学級通信等を使って保護者に伝えることを通し,間接的によさを伝えていく方法も有効であったと考える。図4-5は,B校の実践後に配布した学級通信である。 下線のように,互いに相手を思いやる言葉がけを認めている文章が書かれていた。ここで大切なことは,児童の発言を認める文章を掲載するということだけでなく,文面から児童がそのような発言をしたことやこのクラス遊びが大成功したことを自分のことのように喜んでいる担任教員の様子がひしひしと伝わってくることである。これが配られたとき,児童は「楽しかったな,またやりたいな」と笑顔で言っている様子があった。このように,教員が児童のがんばりを自分のことのように喜ぶ姿を見せていくことが児童のやる気を育んだと考える。 これらは生徒指導の3機能を意識し,取り組んだ内容の一部である。この視点を教員が持っておくことで,児童の実態に応じた適切な支援を行う小学校 特別活動 22 (16)前掲(5) pp..18~19 ことができ,人間関係形成能力育成においてとても効果的であったと考える。 実践後,A校研究協力員の方からは,「この実践で自分自身も活動のつながりを実感した。それを実感することで,学級活動や総合的な学習の時間のみならず,他の教科等や児童同士のトラブルの解決時にも『みんなが納得のいく方法』で話し合うことができるようになった。次の学年でも活用したい」とのお話があった。 B校の研究協力員の方からは,「自分本位に考え行動してしまうという課題が見られる学級だったが,『みんなが納得するように』考えるようになり,相手意識をもって行動できるようになった」というお話があった。 どちらも,合意形成を目指す話合い活動を取り入れていくことのよさを実感されていた。 第1章第2節では,長谷が達成を目指す「話合い」を指導することに関し以下のような課題があると述べていた。(16) いないこと 最後に,本研究の趣旨を理解し,協力してくださった京都市立石田小学校と京都市立納所小学校の校長先生をはじめ,自らの学級での姿を調査対象として協力して下さった研究協力員の先生方,いつも温かく迎えてくださった両小学校の教職員の皆様に心から感謝の意を表したい。 おわりに 交流
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