001総教CR030517R1研究論文(中澤)
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表3-7 朝の会のスピーチで育成を目指したスキル例 形式 ●ペアトーク例:わたしの好きな○○ ○さんのよいところ かという話合いになり,みんなでよりよいものに練り上げていくことにつながった。 しかしながら,課題1の「自分の思いを全員が伝える」ことに関しては,前回より少し発言する児童が増えたものの,何人かで進んでいるという課題が残ったままであった。少人数での話合いでそれぞれが思いを伝える場を作る必要があると考え,総合的な学習の時間や朝のスピーチの時間を活用していくこととした。 〇朝の会のスピーチを活用して 朝の会のスピーチの時間を活用し,児童の実態に合わせて話合い活動のスキル向上を目指すため,ペアでの取組を行った。 表3-7は,実践で行った活動の形式とそれぞれの活動で目指したスキルをまとめた例である。 児童の実態に応じ話し合うテーマを決め,形式を変えて取り組んだ。ペアトークでは,話し手が話しやすいよう,最初は,マインドマップを用いてある程度内容を考えておけるようにすることや,テーマを変えずペアを代えて繰り返し行うなど,話すことに対する苦手意識を取り除く工夫を行った。また,聞き手は相槌を打ちながら聞くことや相手が困った時に質問するなど,話し手が話しやすくなるよう工夫して最後まできちんと聞くスキルアップを目指した。さらに,大切なことを,簡単にメモを取りながら聞く等,書記のスキルアップにつなげられるようにした。 また,児童の実態に応じて少しスキルアップのポイントを示して活動を行う等の工夫をした。図3-6は,児童へ例示したポイントの一部である。 17 (2)話合いスキル向上に向けた取組 〇理由を重視して話合いが進むような手立て 実践2回目の学級会「支援学校のお友達と交流する遊びを決めよう」では,前回の課題を解決するために具体的に下記のような工夫を行い実践した。 上記の番号は,前述の課題の番号と連動している。板書の工夫は,図3-5の通りである。 1 →学級会ノートに事前に自分の意見を 書く時間をとった 2・3→賛成や反対理由が視覚化できる板書 の工夫を行った。 図3-5では,板書の工夫が分かりやすいよう二つの学級会の板書を比べて示している。どちらの話合い活動でも板書上段に出た意見を板書したところは同じである。板書下段の「1学期最後のHAPPY会を計画しよう」では,賛成か反対かの人数が分かるように赤丸と青丸に分けて示しているが,「支援学校のお友達と交流する遊びを決めよう」では,出た意見に対する賛成・反対理由を簡単な言葉で板書した。さらには,反対意見に対し,よりよくするための工夫について出てきた意見を赤で記入し,反対意見の近くに貼っていった。前者の板書だと,どうしても数の違いに目がいってしまいがちだったが,後者のように理由を視覚化することにより,どの意見が話合いの視点に沿っているのか分かりやすくなり,合意点を導きやすくなった。また,賛成か反対かのみではなく,どのような工夫をすると反対意見を改善していくことができる図3-5 学級会 板書の工夫 図3-6 話合い活動スキルアップのためのヒント 小学校 特別活動 13 ●ペアインタビュー●話合い例:夏に行くなら海か山か スキル・自分の思いを伝える・質問をしあう・相槌をうちながら聞く・質問に的確に答える・聴き取った意見を短くまとめる・理由をつけて自分の思いを伝える・それぞれの意見を整理する

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