1 発言する児童に偏りがあった。 2 「くらべ合う」では,自分のしたい種目が できるよう,他の種目に対する反対意見が 先行してしまっていた。 3 最終的に賛成より反対の人数が多いもの 4 「みんなが納得する」に至れず,結局多数 決に頼ってしまったグループがあった。 5 書記に時間がかかり話合いがなかなか進ま 上記の4は,児童の活動の様子から,自分の意見のよさだけを伝えることに必死になり,相手の思いを聞くというところに至れていなかったことが要因だと考える。「相手の思いを聞く」ことができるような手立てが必要だと考えた。 16 A校では,1学期の最後にお楽しみ会を行うことになっており,そこで行う室内遊びの内容を話し合う学級会で,児童の実態を把握した。提案理由の中に,男女がもっと仲良くなるようにという理由があり,それが話合いの視点となった。 児童は学級会の進め方等をある程度理解していたため,司会進行グループが進行原稿を元に話合いを進めることができていた。その中で大きく三つの課題が見られた。 が多く,決めきれず担任教員が支援した。 上記の1は,34名という人数の多さに起因するとこともあるが,話合い方にもう少し工夫があれば解消できるだろう。2・3のように,反対意見が先行してしまうと,学級全体に共感的な雰囲気がなくなり,工夫をしてよりよいものにしていこうという視点がなくなってしまう。要因としては,話し合いの視点が児童にあまり共有されてなかったこと,そのため「自分がしたい種目」という視点で話合いが進んでしまったことだと考えられる。それぞれが,なぜその種目にしたいのか,その理由を重視しながら話合いを進めていけるような手立てが必要だろう。 〇グループでの話合い活動 ・学級活動「グループ名を決めよう」 グループで合意形成を目指す話合い活動を実際に取り入れながら児童の実態を把握する取組を行った。この活動の目的は,グループの話合い活動における児童の実態を把握すること,児童に合意形成の方法を意識させること,場面リーダー輪番制を行っていくことを共有することである。 そこで,実践2回目の学級活動の時間に,「こんなグループにしたいなという思いが伝わるようなグループ名を決めよう」という議題でグループでの話合い活動を行った。グループごとに進行役とホワイトボードへの書記を決め,話合いを行った。また,児童にはできる限り多数決やじゃんけんにたよらず,みんなが納得するよう意見を一つにまとめることを告げ,活動を行った。そして,活動を終えた際には,どのようにして意見を一つにしたのかグループごとに発表させていった。 図3-4は,話合いの際に使ったボードである。 このグループは,最初に「楽しいグループ」「な かよしループ」「がんばりグループ」という意見に分かれていた。しかし,その名前にしたい理由をそれぞれ話していくうちに,個々の意見に,「なかよし」という共通点を見つけ,最終的に「なかよしグループ」という名前に決定した。担任教員は,決め方のよさを認め,このグループが使った合意形成の方法を「理由から共通点を見つけて」という短い文に表し,共有した。他のグループから出た方法も全て共有して教室掲示を行い,今後も話合い活動の際には,これらを活用し,新たな方法が出てきたら増やしていくことを児童に伝えた。 このグループでの話合い活動における課題は以下の通りである。 なかった。 しかし,最後多数決に頼ってしまったグループの児童の振返りでは,「他のグループのまとめ方を聞いて,次の話合いの時に使ってみたいと思った」など新たな気付きもあり,全体の場で共有することがスキルの定着につながると考えられた。 5については,聞いたことを短くまとめていくという作業に慣れていなかったということが要因だろう。 この二つの実践から見られた児童の課題や普段での話合い活動における児童の課題を改善するための手立てを入れ,実践計画を立てた。 図3-4 グループの話合いで使用したホワイトボード 小学校 特別活動 12
元のページ ../index.html#14