動を意図的・段階的に取り入れることで児童に 人間関係形成能力が育まれる。 特別活動ではなく,学級活動(1)と述べているのは,本研究では学級での教育活動で実践研究を行うということ,学級活動の中で「合意形成」の機会が多くあるのは,学級活動(1)の時間であるためである。図2-2は本研究の研究構想図である。 図2-2 研究構想図 学級での教育活動の中に,合意形成を行う場面はたくさんある。それらを,教科横断的な視点で教員が意識的につなげていきながら人間関係形成能力を育んでいく。それらを意図的につなげるためには,共通の手立てを用いていくことが有効だと考える。それについては第3章第1節(2)で詳しく述べる。 研究仮説 う集団活動の中に,合意形成を目指す話合い活 12 第3節 本研究の構想 (1)生徒指導の3機能を活用して 生徒指導提要(15)では,「生徒指導の充実の基盤であり,かつ生徒指導の重要な目標の1つ」として,「より良い人間関係を主体的に形成していこうとする人間関係づくり」を挙げている。人間関係形成能力の育成は,生徒指導の目標の一つであるため,生徒指導の3機能を取り入れた上で,本研究を行うことが有効であると考える。生徒指導の3機能とは,「自己決定の場を与える」「自己存在感を与える」「共感的な人間関係を育成する」の三つであり,これらの視点を合意形成を目指す話合いの際に教員が意識しながら取り組む。では,合意形成のプロセスの中に具体的にどのようなことを意識し取り組むことができるのかまとめてみると,次の通りである。 表2-2 生徒指導3機能の生かし方 一人で考える時間をとる 話合いの決定を児童の合意形成に委ねる。 進行役や書記などの役割を輪番で行い,全員が何か役割を担えるようにする。 考えた意見を全ての児童が発言できる場をつくる。 児童のよい発言や行動を認める (特に人間関係形成能力に関わるもの)。 互いの考えを認め合うことができた際,学級全体に紹介し共有する。 もちろん,他にも多くのことがあるが,いくつか具体的な姿として絞っておくことで視点が明確になると考える。これらを意識することにより,児童の実態に応じた適切な支援が可能になると考える。教員が意識できるよう,話合い活動後の教員の振返り(図2-1「生徒指導の3機能チェック」)で,毎回チェックできるようにしていく。 (2)研究仮説と構想 自己決定の場を与える 自己存在感を与える 共感的な人間関係を育成する 本研究では,以下のような仮説を立て,実践検証を行っていく。 学級活動(1)をはじめ,その他の教科等で行小学校 特別活動 8 (9)ロジャー・シュワーツ 「ファシリテーション完全教本 最強のプロが教える理論・技術・実践のすべて」 日本経済新聞社2005 (10)前掲(4) p.61 (11)国立教育政策研究所教育課程研究センター「みんなで,よりよい学級・学校生活をつくる特別活動」文溪堂p.50 2019.1 (12)前掲(11) p.53 また,前述のように合意形成を目指す話合いを通し人間関係形成能力を児童に育成するためには,「合意形成を目指す話合いそのものを段階的に学ぶこと」と「合意形成を目指す話合いを通し人間関係形成能力を育むこと」の両方が大切である。そこで,「話合いスキルアップの育成に重点」を置くのか,「人間関係形成能力の育成に重点」を置くのかを児童の実態に応じて考え,段階的に取り組んでいく。 これらの取組を通し,児童に人間関係形成能力を育むことができたか,検証を行う。
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