001総教CR030517R1研究論文(木村)
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Computational thinking is the thought processes involved in formulating a problem and expressing ①自分が意図する一連の活動を実現するために, ここからもプログラミング的思考が問題解決のための思考であることが読み取れる。また,磯部らはCTを「計算機科学(コンピュータ・サイエンス)の流儀で考えて問題解決をすること」とし,以下のように解説している(14)。 ・問題を抽象化によって分析すること。 ・解決するためのプロセスを定型化・自動化で ・コンピュータにプロセスを任せられるようプ ログラムすることはあくまでオプションであ 54 ②どのような組み合わせが必要であり, ③一つ一つの動きに対応した記号を, ④どのように組み合わせたらいいのか, ⑤記号の組合せをどのように改善していけば, より意図した活動に近づくのか, といったことを論理的に考えていく力。 問題解決のために:① ものごとを分解し:②③ 構築:④ 試行錯誤して考えること:⑤ 本市の定義においても,プログラミング的思考が問題解決のための思考として示されていることを確認しておきたい。 (3)プログラミング的思考の要素 効であろうことは第1章2節(1)に先述した通りである(p.3)。 プログラミング教育の核となるプログラミング的思考だが,学習指導要領解説総則編に示されている定義を以下に示す(11)。 ①②では問題を発見し,どのように解決したいのか考える。大きな問題であれば,小さな問題に分けてみることで,解決策が見つかるかもしれない。また,分けたことで必要のない部分が見つかり,問題をシンプルにとらえることができる。解決策が浮かんだら,実行するためにどんな作業が必要か,全体を分けて考える必要がある。③の記号というのはコンピュータへの命令であり,人間が問題を解決するのであれば分けられた作業や指示である。④それをどんな順番で行えばいいのか工夫し,⑤実際にやってみて評価し,修正する。場合によってはより汎用性をもたせられるように考える。これがプログラミング的思考である。 本市では上記の定義をもとに,プログラミング的思考の重要ポイントが「問題解決のために,ものごとを分解・構築・試行錯誤して考えること」と示された(12)。文科省の定義とは以下のように対応すると考えられる。 プログラミング的思考の定義は,「コンピュテーショナル・シンキング」(以下CT)の考え方を踏まえつつ,プログラミングと論理的思考との関係を整理しながら提唱された定義である(13)。CTとはWing(2006)によって広まった概念で,Wingが現時点で最適と述べている定義を以下に示す。 its solution in such a way that a computer –human or machine- can effectively carry out. CTは,問題を明確にし,その解決策をコンピュータ,人,機械が効率的に実行できるよう,表現することに関わる思考である。 小学校 情報教育 4 きるように構築すること。 って,CTには含まれない。 計算機科学の流儀にはどのような要素があるのか。イギリスはCTを育むことを目的とし,コンピューティングという独立した教科としてナショナルカリキュラムが作られているので参考にする。その内容については太田らの研究が詳しいが,コンピューティングにおけるCTの要素は表1-1のように示されている(15)。 表1-1 イギリスの教科コンピューティングでの この5項目による分類は,日本ではベネッセ(16)や日経BP社(17),他の複数の教育委員会が使用しており,本稿においても参考にする。 分解は,理解や解決のために問題や事象をより小さな部分に分けることである。例えば,カレーライスをその材料に注目して,玉ねぎ,人参,米,(改行と番号は筆者による) コンピュテーショナルシンキングの要素 (訳は筆者による)

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