001総教CR030517R1研究論文(木村)
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表4-6は, A校2年生の有効性の実感に関する変化について示したものである。分解について有効性を実感していると答えた児童の割合は,20.8%から92.0%に増加した。さらに「わからない」と答えた児童の割合が50%から4%に減っていることもわかる。他の項目についても,有効性を実感 表4-3 事前アンケート結果A校2年生(単位は%) アルゴリズム的思考 表4-4 事前アンケート結果B校2年生(単位は%) アルゴリズム的思考 これらの事前アンケート結果から以下のような示唆を得た。それはプログラミング的思考には,児童のこれまでの経験でイメージしやすいものとそうでないものがあるということである。 先に述べたように,プログラミング的思考が様々な問題解決にあたって応用されるような力,すなわちメタ認知的活動に組み込まれる方法となるには,それがどういう方略なのか子どもたちが理解していなければならない。このことを踏まえた時に,プログラミング的思考の育成においては分解や抽象化の思考をより意識化させることが重要であると言える。 また,2年生の分解については,有効性は実感できず,よくわかっていないにもかかわらず実現ことなのかイメージできていなかったということであろう。一方,手順を考えるアルゴリズム的思考やその手順を目的や意図に応じて確認する評価については,イメージがしやすいようである。同様に,あきらめずに取り組む姿勢についても高い数値となった。他の教科や日常の学級経営,あるいはこれまでの生活体験の中で意識されたり,育まれてきたりしているということであろう。 このような傾向は,実践を行った他の2クラスにもうかがえた。以下,表4-3および表4-4に示す。 A校2年生(n=25)B校2年生(n=30)分解抽象化評価あきらめずに取り組む姿勢分解抽象化評価あきらめずに取り組む姿勢+大体そう思う+大体そう思うそう思う良くできているわからない+大体できているそう思うわからない良くできている+大体できている有効性の実感有効性の実感50.020.820.052.020.866.70.087.58.060.027.658.648.334.520.769.010.368.975.96.9実現度あきらめずに取り組む姿勢実現度あきらめずに取り組む姿勢32.040.056.070.966.641.317.258.658.651.7A校5年生(n=20)表4-6 A校2年生における有効性の実感についての A校2年生(n=25)小学校 情報教育 21 85.0100.0100.095.0100.092.072.088.096.0100.010.00.00.00.00.04.028.04.00.00.071 87.034.817.40.00.050.020.020.80.08.0できているという結果になっている。イメージがわからなかったことで正しく判断できなかったのだと考えられる。それを除けば,おおむねどの項目もその実現度は有効性の実感の数値に比べて低い数値となっている。 では,実践によって児童がどのように変容したかを述べる。事後アンケートは,授業実践終了直後2019年12月に行ったものである。 まずは有効性の実感についての変化を述べる。 例として,A校5年生の事前と事後での回答の比較を表4-5に示す。 表4-5 A校5年生における有効性の実感についての 分解の思考について有効性を実感していると回答した児童の割合は,13.0%から85.0%に72ポイント増加した。分解同様,事前アンケートではイメージされにくかった抽象化についても,39.1%から100.0%へと60.9ポイント増加している。わからないと回答した児童の割合もそれぞれ減少している。また,分解と抽象化以外の3項目についても,有効性を実感していると回答した児童の割合が増加していることがわかる。 事前事後比較(単位は%) 13.039.173.990.996.5事前事後比較(単位は%) 20.852.066.787.560.0抽象化アルゴリズム的思考抽象化アルゴリズム的思考そう思う+大体そう思う事前事後分解評価そう思う+大体そう思う事前事後分解評価わからない事前事後わからない事後事前

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