これは5年生用のアンケートだが,2年生につ 第1節 プログラミング教育の効果 (1)可視化,意識化による効果 実践を行う前に,研究協力校の児童にプログラミング的思考に関する事前アンケートを行った。対象は5年生1学級24名,2年生2学級55名である。プログラミング的思考の5要素および「あきらめずに取り組む姿勢」について,「どういうものかわかっているか,有効性を実感しているか」「実践しているか」を問うたものである。 「あきらめずに取り組む姿勢」とは,問題解決を支える姿勢である。仮に様々な思考を働かせて解決手順を構築したとして,その評価を行った結果,失敗と判断しあきらめてしまったら問題は解決しない。成功するまで何度も何度も構築と評価を繰り返し,より目的や意図に合うものを作り出 (29)この手順は,筆算のアルゴリズムを示した正しいステップチャートとは言えない。しかし,正しいステップチャートの書き方を習得することが目的ではないので,児童の実態に合わせてこのような形式にした。 (30)このステップチャートは,図3-11のように反復するものになっていない。しかし,本時では分岐のイメージをもたせることを重点としたため,この図を採用した。 70 集団解決を行った。以下が,そのやり取りの一部である。 T「なぜこことここが同じ数字なの。」 C「①むかいあう辺の長さが等しいから。」 C「長さが違うと,線がくっつかない。②囲まれていないから四角形じゃない。」 T「下に9cm進むでもかけるかな。」 C「むり,画面からはみ出る。」 T「これって③順番変えてもうまくいくかな。」 C「部品は一緒だから大丈夫じゃない。」 C「④無理です。右に行ってから左に行ったら線が重なっちゃうからです。」 下線①②のように,プログラムの意味を説明することを通して,自然と図形のきまりに関する知識が表現されている。また,下線③④では,「問題の解決には必要な手順があることに気付くこと」というプログラミング教育のねらいが達成されていることがわかる。 第4章 実践の成果と課題 そうとしていく,そのような「あきらめずに取り組む姿勢」がプログラミング的思考を支える姿勢として重要だと考えている。そのような姿勢が,プログラミング教育によってさらに育まれる可能性があるとも考え,設問に含むことにした。 有効性の実感についての回答には「そう思う」「大体そう思う」「あまりそう思わない」「そう思わない」「わからない」の5項目を用意した。実践しているかについての回答には「よくできている」「だいたいできている」「あまりできていない」「できていない」の4項目を用意した。2019年7月~9月に行った。以下がその内容である(32)。 いては簡易な言い方に直したもので実施している。 結果は以下の表4-2の通りである。 アルゴリズム的思考あきらめずに取り組む姿勢アルゴリズム的思考あきらめずに取り組む姿勢A校5年生(n=24)分解抽象化評価一般化問題やモノをいくつかの部分に分解すると,その構成や全体を理解しやすくなると思う。いくつかのものの共通点を見つけると,そのグループの特徴や決まりが見つけやすくなると思う。問題を解決する時に,やるべきことの手順を考えることで,解決しやすくなったり,他の人に伝えやすくなったりすると思う。問題を解決する時は,間違いを直したり,他のより良い方法を考えたりしながら,解決方法を考えるようにすることが大切だと思う。問題を解決する時は,同じような種類の問題におきかえたり,その解決方法を参考にしたりすると,考えがうかびやすいと思う。問題の解決方法を考えても,うまくいかないこともあるから,あきらめずに何度も挑戦して修正することが大切だと思う。有効性の実感分解抽象化評価そう思う+大体そう思う13.039.173.990.996.5わからない良くできている+大体できている実現度4.387.034.821.717.447.80.054.665.20.0表4-1 プログラミング的思考および関係する姿勢に 表4-2 事前アンケート結果A校5年生(単位は%) 分解や抽象化の有効性の実感について「そう思う」「大体そう思う」と答えた児童の割合が,他の3項目に比べて低い数値となった。一方,「わからない」と答えた児童の割合は高い数値となった。多くの児童が,それらの思考がどのように考える小学校 情報教育 20 関するアンケート
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