C「①まず鉛筆を持ちます。」 T「どうして?」 C「鉛筆を持たないとかけないからです。」 T「確かに。鉛筆持ったらどうしたらいいです か。」 C「②右に線を引くってしたらいいと思う。」 T「このコンピュータでは【~に~cm動く】 って命令したら,その通りに動いてくれるか らね。」 下線①は分解とアルゴリズム的思考が働いている。このクラスは,パソコンに触れることさえ初めてという児童が多く,当然Scratchに触れたことはない。【鉛筆をもつ】というブロックがあることを知るわけがないのである。誰かが図形を描くにはどうすればいいかという行動を正確に思い浮かべ,分解しないと浮かんでこない回答である。また下線①も②も言葉が短いことにも注目したい。2年生といえば,説明する際に「~して,~して」と長い文章になることもしばしば見受けられる発達段階である。筆算の授業でたくさんステップチャートを書き,端的に順序だてて表現することに慣れてきた結果ではないだろうか。 ・できなくてもあきらめずに挑戦できるように 【一般化】や【分解】【アルゴリズム的思考】 図3-13 長方形を描かせるプログラム 【分解】 ・特徴にわけて考えるとできるとわかった。 ・ほかの図形も特徴を考えて作ってみたい。 【アルゴリズム的思考】 ・必要な条件や数字があっていても,順番が違っているとうまく作れないことにも気づいた。 【評価】 ・動作してみながら,少しずつ正しいプログラムを見つけられた。 【あきらめずに取り組む姿勢】 ・頭をすごく使って楽しかった。 ・最初はできなかったけれど,だんだんできるようになってくると楽しかった。 なった。 などプログラミング的思考に関わる記述があり,児童のなかに意識化されていることが読み取れる。また【プログラムの多様性】のように,こちらが特に意図していなかったが児童が気付いたものもあった。さらに,「整数」での実践同様に,難しい課題にあきらめずに取り組むことを楽しいと感じていることが読み取れた。 (3)2年「三角形と四角形」 2年生は四角形を描くプログラムの作成をした。この単元では,三角形や四角形を辺の長さや本数や角の形に注目してとらえることがめあてになる。あるキャラクターに四角形を描かせるプログラムを作る活動を通して,プログラムと四角形の定義を関連付けることで,より学びを確かにすることが算数科としてのねらいだ。 パソコンに初めて触れる児童が多いクラスだったので,機器操作習得の時間も含めて60分の授業を設定した。パソコンは,台数の関係から2人ペアに1台となってしまったが,理想は1人1台である。 まずは5年生と同様,【わける】のカードを示しながら長方形や正方形の特徴を確認した。そして,ステップチャートの枠を描き,どんな命令をするかを尋ねた。以下がそのやり取りである。 T「長方形ってどんな形かな?」 C「辺が4本あります。」 C「角が四つあります。」 C「角は直角です。」 C「上と下の辺の長さが同じです。」 小学校 情報教育 19 C「右と左も同じで,むかいあうのが同じです。」T「いろいろなきまりに分けて考えられたね。じゃあ,こんなきまりの図形をえんぴつくんに描いてもらうためにどんな命令をするかな?」 この会話の中で指導者は【えんぴつをもつ】→【~に~cmうごく】とステップチャートに記入すると,その後は児童が自由に考える時間とした。 図3-13は児童が作成したプログラムである。辺の長さや縦横どちらから描かせるかは児童が決めている。児童が思考する時間を十分に与えた後,69
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