001総教CR030517R1研究論文(木村)
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図3-7 どんな時に繰り下げるかを示す図 この一つのブロックをどこに入れるかを児童は考え,それぞれの思う位置に挿入した。その際,とりあえず入れてみて,しばらく考えた後,他の場所に入れ替えるという評価の思考を働かせている様子がうかがえた。また,友達と考えが異なると,そこに自然と対話が生まれていた。その際「まず」「次に」と順番を意識したり,「ひけなかったから,百の位から借りてくる。」と原因と結果を意識したりしながら,短い文に区切って説明している様子がうかがえた。ステップチャートにすることで,順番をより意識しながら考えることができたのではないだろうか。 第4節 思考とプログラミングをつなげる ステップチャートを使ったアンプラグドでの学習を通して児童は,分解,アルゴリズム的思考,一般化などのプログラミング的思考を意識化してきた。しかし,コンピュータを用いたプログラミング体験を経ていない状態では,それらの思考と「コンピュータに意図した処理を行わせること」とは結び付いていない。自分たちが学習したり発揮したりしてきた思考が,コンピュータに意図し このチャート作成により,以前に書いたステップチャートと今回のScratchでのプログラミング体験が関連付けられることになる。 そしてScratchでプログラムを作る活動に移ったが,児童のICTスキルの状況,児童にScratchのブロックの意味を理解させる必要があること,初めての児童にとってはプログラムが難しいことをふまえて,指導者の指示に従って一斉にプログラムを作成していった。最初に作ったプログラムを図3-9に示す。 66 のブロックを示した。手順の中には,こういった判断も含まれることを示す意図がある。 ひし形のブロックは,ステップチャートでは条件分岐を示すものだが,2年生という発達段階をふまえ,分岐して複線にはせず,どういう時に繰り下げるのかという判断基準を示すブロックとして扱った。児童の話し合いの結果,完成した図を以下に示す。 くらいをそろえてかく一のくらいの計算をする百のくらいから1くりさげる十のくらいの計算をするた処理を行わせることに生かされていると気付けるよう,それまでの学習とプログラミング体験とを関連付けることを意識して実践を行った。 (1)5年生「整数」 先述した通り(p.12),児童が段階的にScratchに慣れることも意図して,「整数」の単元において「ネコが数を1から数えて,倍数や公倍数の時に特別なリアクションをするプログラム」を考える活動をした。 なお,算数科としてのめあては,倍数について「ある数の倍数とは,ある数で割り切れる数」とも捉えられるようになることである。 授業の導入では,数を1から順に数えていき「3の倍数で手を叩く」「5の倍数でジャンプする」というゲームを行った。3と5の公倍数,すなわち15の倍数ではジャンプしながら手を叩くことになる。このゲームによって,これから作ることになるプログラムのイメージをもてるようにした。 次いで,チャートを使って設計を行った。児童が作成したチャートを図3-8に示す(30)。 図3-8 3の倍数でこんにちは!というプログラムの チャート 小学校 情報教育 16 数をくらべてひけない

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