(児童のノートを筆者が整理したもの。下線は,筆者) 次時は合同な四角形の描き方を考える時間だが,四角形を「三角形に点を一つ加えたもの」と捉えることで,1点を決めるためには合同な三角形を描く方法が使えるとの推測ができる。 図3-6 135-72のステップチャート か」というねらいで学習に臨んでいる。また,「最初に辺BCをひく=2点は決めてしまう」ことは全員共通とし,残り1点を決めることに児童の思考を限定した。 図3-4の考え方が出た後,指導者が「三つの方法の違いや共通点は何か。」と発問し,グループで考えさせた。プログラミング的思考としては,具体的な辺BCや5cmと表現されていたものを,「3辺」 「3要素」などと抽象化させるねらいである。児童から出た意見は以下である。 自分たちの考えが整理されて可視化されたことおよび思考を促す発問がされたことで,児童が話し合いの中で「3要素を調べれば三角形が描ける」ことに気づけたことがわかる。 実際,ステップチャートにしてみると合同な四角形を描く手順は,合同な三角形を描く手順の組合せで成り立っていることがわかる。ある方法に含まれるパターンが他の場合にも使える「一般化」を,児童にわかりやすく示すことができた。 ・どこを使うかは違う ・辺の長さと角度を調べるのは共通する。 ・三つの場所を測っている。 ・全部の角や辺を調べる必要はないとわかった。 図3-5 合同な四角形を描く手順 小学校 情報教育 15 また,授業後に指導者へインタビューを行ったところ,以下のような効果が確認された。 ・ステップチャートに描くことでわかりやすか ・次の時間(合同な四角形の描き方を考える時 間)は,(指導者が言っていないのに)自分 たちでステップチャートに書いていた。そし て,共通点がないか考えていた。 ・自主学習で,別のことのステップチャートを これらのことから,思考を可視化して問題解決に至る取り組みを繰り返すことで,抽象化したり一般化したりといったプログラミング的思考の有効性を実感させ,転移を促すことができると考えられる。 (2)筆算の手順 第3章2節2項において述べたように,2年生「足し算と引き算のひっ算②」では,筆算の手順をステップチャートに整理して示す活動を行った。ここでは,問題や事象をいくつかの部分に理解や解決できるように「分解」することや,明瞭手順を組む「アルゴリズム的思考」を可視化することを意図している。 ・普段きまりを見つけることが苦手な児童が,積極的に発言していた。 ったと言っていた。 描いていた。 第6時,2回繰り上がる足し算の筆算や三つの数を足す筆算について学習した後,「135-72」の筆算のやり方を考える場面である。多くの児童はステップチャートを描くことに慣れ,図3-6のように描いていた。 筆算のやり方について話し合っていき,このやり方でよいという意見にまとまったころ,指導者が「先生はこういう手順もあると思うんやけど。」と「数をくらべて,ひけない」と書かれたひし形65
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