作成のための時間をとった後,複数の正方形の書き方を発表してもらい,黒板に残した。そして長方形や平行四辺形など様々な四角形に挑戦するよう促し,児童がしばらく取り組んだ後,指導者が「長方形を描くにはどうしたらいいかな」と聞いた。すると児童が黒板の前に出てきて,正方形を描くプログラムをもとに数字を変えて説明した。それが以下である。 64 図3-2 正方形を描くプログラム 図3-3 長方形を描くプログラム 先に示した図3-1を見るとわかる通り,二つの手順には同じパターンが使われており,1手順付け足すだけで問題解決に至ることができる。多くの児童がはじめから本時の筆算の手順を描いた中,1名が前時の手順をまず写し,そこに「1繰り上げる」を挿入した図を描いていた。そこで研究協力員が,「ここに付け足すって思って矢印で入れたんやって。これもわかりやすいな。」と価値付けていた。もちろん児童は一般化したとは思っておらず,もしかしたらただ最初はわからなかったから前時のものを写し,集団解決の中で付け足しただけなのかもしれない。しかし,「使えるパターンは使ってよい」という姿勢を示すことにはなったであろう。 有効性を実感させることは,コンピュータを使ったプログラミング体験でも重要である。5年生で四角形を描くプログラミング体験を行った際の例を示す。 児童はまず正方形のプログラムを作成した。以下の図3-2はその例である。 小学校 情報教育 14 このプログラムに従って実際に長方形を描いたあと,「ほんのちょっと変えるだけで別のものが描けるんだね。」と指導者が取り上げている。 この体験の後に行った振り返りの記述を示す。 あるパターンを少し変えて,違うものが作れるという体験を通して,パターンを見つけ出す一般化のよさに触れることができたと考える。 第3節 児童へ可視化,意識化して (1)合同な図形を描く手順 5年生「合同な図形」の単元において,児童が考えた合同な三角形を描く手順を指導者がステップチャートに整理して黒板に示した。その手順は以下である。 図3-4 合同な三角形を描く三つの手順 合同な三角形を描く場合,3辺3角の6要素のう・少しの工夫などで(できることが)かわるのがおもしろかったです。 ・どこかをちょっと変えれば違う形になることがわかった。 ち3要素を調べればよく,その調べ方は「3辺」「2辺と間の角」「1辺とその両端の角」の3通りがある。このことを学習する授業においては,これら3通りの描き方を考えるだけでなく,「三角形は3点が定まれば形と大きさが決まること」「1辺を定めて,残り1点を定めれば決まること」などを関連付け,3要素を調べれば3点が決まることに気付かせたい。また,「三角形を決めるのは3点,ならば四角形はどうなるか」などと発展的に考えるための準備段階とも捉えられる。 授業の導入において,指導者が「3点写すことで合同な三角形が描けた」体験を想起させており,児童は「紙に写さず3点決めるにはどうすればいい
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