両学年ともにまずは,プログラミング教育の導入となる活動を行った。それは,ロボットに歯磨きをさせる命令を考え,その命令でロボット役の教員が意図した通りに動くか確かめるものである。この活動を行った理由は,分解やアルゴリズム的思考のイメージをもちやすくするためである。また,これから学習することがコンピュータを動かすこととつながっていると理解してもらうためでもある。先生がロボット役をやり,児童の考えたプログラム通りに動くので,高価なロボット教材が無くてもできる。以下に,5年生が考えたプログラム例を示す。 第1節 段階的,系統的に育む 実践は,2年生と5年生において行った。実践計画を立てるにあたっては,プログラミング的思考やそれを促す思考ツールが教科のねらいの達成に寄与するかどうかを第1条件としている。ただし,(Scratch)(Scratch)(Scratch)(Scratch)(19)黒田昌克,森山潤『小学校段階におけるプログラミング教育 に対する教員の意識と意義形成要因の検討』教育メディア研 究 Vol.24,No2,43-54 2018.p.48 (20)文部科学省『小学校学習指導要領』2017.3.p.63 (21)奈須正浩『「資質・能力」と学びのメカニズム』東洋館出版 社 2017.pp62-66 (22)深谷達史『メタ認知の促進と育成』北大路書房2016.3.20 p.8 (23)前掲(22)p.168 (24)前掲(22) (25)前掲(22) (26)黒上晴夫『初等中等教育におけるシンキングツールの活用』情報の科学と技術 67巻10号,521-526 2017 p.521 (27)小島亜華里,三宅貴久子,泰山裕,黒上晴夫『思考スキル習得のためのシンキングツール活用』日本教育メディア学会第20回年次大会発表論文集 2012.pp.43-44 (28)三宅貴久子,泰山裕,久保田賢一『初等教育における思考力を育成するための授業の実施と評価』日本教育工学会第28回全国大会発表論文集 2012.pp.489-490 う考えたのか,発問や評価によって意識させることができる。 思考ツールを活用することで,児童の思考が可視化される。「順序立てる」や「比べる」ということがどういうことか,今自分がどんな風に考えているのか,目に見えてイメージしやすくなる。 また,振り返りや発展的な課題を解決する学習において,あるいは教員の価値付けによって,児童はどう考えたことでどんな良さがあったのかプログラミング的思考の有効性を実感していくことができ,使ってみようと思えるものになる。 プログラミング体験などを通して単にプログラミング的思考を発揮させるだけでなく,教員がプログラミング的思考を意識し,児童に可視化しつつ意識化していくことが, プログラミング的思考を活用できる人間を育てることになるのではないだろうかと仮定し,実践と検証を行う。 できるだけプログラミング教育としての系統性が保たれるようにも配慮した。表3-1にその計画を示し,どのような意図に基づいた系統性があるのかを説明する。 6月7月8月9月10月11月12月1月2月61 第3章 実践の実際 表3-1 実践計画 小学校 情報教育 11 2年生ロボットにはみがきをさせよう(アンプラグド)たし算とひき算のひっ算①(アンプラグド)たし算とひき算のひっ算②(アンプラグド)三角形と四角形合同な図形(アンプラグド)整数プログラミング体験予定:円と正多角形5年生
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