80 食事の重要性や栄養バランス,食文化等についての理解を図り,健康で健全な食生活に関する知識や技能を身に付けるようにする。 (思考力・判断力・表現力等) 食生活や食の選択について,正しい知識・情報に基づき,自ら管理したり判断したりできる能力を養う。 (学びに向かう力・人間性等) 主体的に,自他の健康な食生活を実現しようとし,食や食文化,食料の生産等に関わる人々に対して感謝する心を育み,食事のマナーや食事を通じた人間関係形成能力を養う。 【食事の重要性】 ◇心身の成長や健康の保持増進の上で望ましい栄養や食事のとり方を理解し,自ら管理していく能力を身に付ける。【心身の健康】 ◇正しい知識・情報に基づいて,食品の品質及び安全性等について自ら判断できる能力を身に付ける。【食品を選択する力】 ◇食べ物を大事にし,食料の生産等に関わる人々へ感謝する心をもつ。【感謝の心】 ◇食事のマナーや食事を通じた人間関係形成能力を身に付ける。【社会性】 ◇各地域の産物,食文化や食に関わる歴史等を理解し,尊重する心をもつ。【食文化】 中学校 食育 4 各学校における食に関する指導の目標は,学校教育目標に基づき独自に設定し,各教科等において指導を行うこととなっている。その際,先述の「食育の視点」に基づいて具体的な目標を設定することが重要である。 本研究では,「食育の視点」を踏まえ,何をどのように食べればよいかを選択する力,つまり,食選力を向上させることに重点をおいて研究を進める。 「飽食の時代」といわれる現代だからこそ,自分にとって何をどのように食べればよいかを選択する力が必要であると考える。適切な選択をするためには,食事の重要性をしっかりと理解し,その上で,心身の健康や成長のために何をどのように食べればよいかを考える力を身につける必要がある。また,食に関わる様々な知識の定着とそれらを活用する力も必要である。食事の重要性の理解と食に関わる知識の定着を図りつつ,自分にとって何をどのように食べればよいかを考え選択させることで,生徒の食選力が向上する。また,食べることへの意識(以下「食意識」という。)の向上にも繋がる。 生涯にわたる心身の健康が生きる力の基礎となることを生徒自身がしっかりと理解し,そのためには何をどのように食べればよいかを自己決定し,行動することができる生徒の育成を目指す。 (2)本研究の構想 食についての選択は多岐にわたる。例えば,栄養に関すること(何を食べるか),分量(どれだけ食べるか),食べ方(食べる早さや咀嚼),誰といつ食べるかなどである。日々の生活の中でこのような選択を行い,私たちは食生活を送っている。どの選択も心身の健康のためには必要なことではあるが,本研究では何をどのように食べるかを,栄養に関することを根拠に選択する力に重点をおく。本研究の構想を図1-1に示す。 成長期にあり,活動が活発な中学生にとって,必要な栄養素をバランスよくとることは重要である。食べるものを「何となく」選択するのではなく,栄養に関することを根拠に選択することができるように,食事の重要性,健康や成長との関わりなどをしっかりと理解させ,自分事として捉えさせる。そのためには,チェックシートで振返りを行い,意識づけを行うことが必要である。自分 第2節 本研究で目指す生徒像 (1)食育で育む資質・能力 平成28年12月の中央教育審議会答申「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策について」の中で,「現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力」の「健康・安全・食に関する資質・能力」として食に関する資質・能力の考え方が示された。これを受け,「食に関する指導の手引―第二次改訂版―」では,食に関わる資質・能力を以下のように整理している(11)。 食に関わる資質・能力 (知識・技能) また,今まで「食に関する指導の目標」として示されていたものが,「食育の視点」として六つ示され,食に関する指導がさらに実践しやすいように再整理された(12)。 食育の視点 ◇食事の重要性,食事の喜び,楽しさを理解する。
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