001総教CR030517R1研究論文(今川)
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第1節 事後アンケートより (1)生徒アンケート 研究実践後,食生活の実態や食に対する意識についての変容を見取るため,生徒を対象としたアンケートを実施した(以下,生徒事後アンケート)。調査期間は令和元年12月11日~令和2年1月11日,対象生徒は普通学級の1~3年とした。実施人数はA校449人,B校491人であった。 図4-1は食品の選択についての設問に対する回答の変容を示したものである。「店で食べ物を購入する時(おやつ以外)や外食をする時に,どのようなことを考えて選んでいますか」という設問で,「栄養バランス」を「いつも考える」と回答した割合がA校で7.8ポイント・B校で3.5ポイント増加した。 実践前 実践後 実践前 実践後 ・色々な食べ物を食べるようになった。 ・栄養バランスを考えるようになった。 ・朝ごはんを去年よりしっかり食べるようにした。 ・少しでも朝食を食べようと思うようになった。 ・野菜を食べるようになった。 ・朝食に主菜や野菜を少しでも足すようにしている。 ・緑の食品を食べることが少なかったので,緑の食 このように,実践を通して食に対する意識が少しずつ向上し,行動に繋がっている生徒がいることが読み取れた。 A校 B校 B校94 図4-1 栄養のことを考えて食べ物を選んでいるか 保護者が自分たちのことを考えて食事を準備してくれていることに感謝し残さず食べたり,保護者がどのような思いで食事を準備してくれているのかを知ったりすることも必要であると考える。 表4-1は食生活の変容についての設問に対する回答である。 表4-1 食生活の変容について 「自分の食生活について,変化したこと(意識するようになったこと)はありますか」という設問で,「ある」と回答した割合は約20%であった。その内容についての記述の一部を以下に示す。 2.2 11.9 8.1 3.2 11.1 5.5 3.0 10.3 図4-2は朝食についての設問に対する回答の変容を示したものである。「朝食に何を食べていますか」という設問では,赤の食品を「必ず毎日食べる」と回答した割合が増加した。 第3章第2節(2)(p.16)で述べた朝食調査においても緑の食品より赤の食品を食べている生徒が多く見られた。赤の食品は緑の食品に比べると朝食に取り入れやすいことが要因であると考える。例えば,牛乳を飲んだり,パンにチーズをのせて食べたりするといった,中学生でもできるようなことが挙げられる。また,今まで朝食に黄の食品しか食べていなかった生徒が,赤・緑・黄の食品が揃った朝食を食べることは容易ではないだろう。これらのことを踏まえると,できることから取り組んでいることが伺える結果となったのではないだろうか。 ある わからない 第4章 研究の成果と課題 19.8 19.1 45.0 44.7 35.1 36.3 自分の食生活について,変化したこと(意識するようになったこと)はありますか(%) ない 牛乳を毎日飲むようにした。 品を食べるように意識しました。そのため,最近は野菜や果物を食べられています。 中学校 食育 18 42.3 9.4 42.2 17.2 13.8 17.3 34.7 39.7 中学生といえども,外食をしたり,店で食べ物を選んだりする機会は,大人と比較すると少ないだろう。そのような生徒にとって,「自分で選べる時=特別な時」となっていることが考えられる。特別な時は栄養バランスを考えるより,好きなものを選びたいと思うことは決して悪いことではない。このような現状にも関わらず,栄養のことを考えて食べるものを選択している生徒が増加したことは,実践を通して生徒の食意識と食選力が向上したと言えるであろう。 今後,自分で食べるものを選ぶことが日常になった時,例えば,家を離れて一人暮らしをしたり,家事をする機会が増加したりした時に,好きなものだけでなく,栄養バランスも考えて食べるものを選択できるようにすることが大切であると考える。その時のために,栄養バランスの良い食事をとる必要性を理解させ,どのような食生活を送れば良いかを考えさせることが必要である。また,40%50%60%70%80%34.2 29.3 34.9 29.7 90%100%A校いつも考えるまあまあ考える栄養のことを考えて食べ物を選んでいますか20%30%0%10%あまり考えない考えないわからない

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