図3-3 知識活用問題② 「米飯,みそ汁,麻婆豆腐」という一見,栄養バランスの良いメニューに思えるが,使用されている食材を見ると緑の食品が少ないことが分かる。また,ワークシートには一汁三菜についての資料を載せ,副菜が足りないことにも気付けるようにした。生徒はメニューを見ると,「量が少ない」や「緑の食品がほぼない」「赤の食品が多い」等,多くの問題点に気付いていた。そして,それらの問題点の改善策を自分なりに考えていた。図3-3のⅢ及びⅣの欄に生徒が記述した内容を表3-2に示す。 生徒生徒生徒習内容を日常生活で活用するという疑似体験をすることができる。第2章第1節(1)(p.5)で述べたように,朝食の栄養バランスが悪く,朝食をパンやごはんのみで済ませている生徒が多いことが予想される。このような実態を踏まえ,生徒の日常生活に近い場面設定をすることで,生徒が自分自身の食生活と重ね合わせて考えやすいようにした。 問題に取り組む際,指導者は,自分自身の朝食喫食の有無に関わらず,中学生の朝食としてふさわしいと思うものを考えさせるように方向付けをし,今まで学習してきた知識を活用するよう助言をした。改善策を考える際は元のメニューに他の料理を追加したり,他のメニューに変更したりするなど様々な方法を用いて良いことを伝えた。また,どのような方法を用いても良いが,そのように考えた理由を必ず記入することも合わせて助言した。 生徒は,問題にある「メロンパン,カフェオレ」という朝食を見て「黄の食品が多い」「砂糖が多い」「量が少ない」など様々なことに気付いていた。このような問題点を少しでも改善するために,「赤と緑の食品をどのように入れよう?」「朝は時間がないから簡単にできるメニューがいいな」「これから寒くなるから温かいものがいいかな」など,様々な視点で改善策を考えていた。図3-2のⅠ及びⅡの欄に生徒が記述した内容を表3-1に示す。 表3-1 知識活用問題①・生徒の記述 サンドイッチ(ハム,チーズ,卵,レタスorキⅠ ャベツ)とスープなどの早めに食べられてある程度,栄養バランスのよい朝ごはんにする。 サンドイッチなら炭水化物や卵,乳製品,野菜A Ⅱ がとれる。スープは体が温まって動きやすくなる。 Ⅰ カフェオレをやめて具だくさんのスープにする(ソーセージ,にんじん,玉ねぎなど)。 たんぱく質と野菜が足りないので補えるように。B Ⅱ また朝は時間が少ないので一度に色々な栄養がとれるスープが良いと思ったから。 野菜(サラダなど)をとる。カフェオレより牛Ⅰ 乳の方がいい。メロンパンより食パンを使ってサンドイッチにするといろんな食材を使える。 パン(5群・黄色)とカフェオレ(2群・赤色)C はとれていても緑色がとれていないから,サンⅡ ドイッチにすることで黄色はとれるし,野菜で緑,タマゴサンドで赤がとれる。 中学校 食育 13 このように,朝食に赤・緑・黄の食品を揃えるという意識をもち,改善策を考えている生徒が多く見られた。また,ワークシートに載せた資料を参考に,温かい飲み物を取り入れる生徒も多く見られた。改善策には具体的な料理名や食品名を記述していることから,より具体的に考えられている様子が伺える。理由を記述するⅡの欄には,栄養に関することを根拠にしたものが多く,「何とな く」選ぶのではなく,根拠をもって改善することができていた。また,ワークシートの資料を参考にすることで,栄養バランスを整えるための工夫を知り,「これなら自分にもできそう」と感じることにも繋がったと考える。 別の知識活用問題では,夕食のメニューについて考えさせた。この場合も,設定されたメニューの栄養バランスをよりよくするための方法を考えさせた。使用したワークシートを図3-3に示す。 89 Ⅲ Ⅳ
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